2007/06/22

明日は、組合主催の再チャレ試験対策講座なんだよ。

 こんにちは。

 公務員バッシングが鳴りやまない昨今ですが、それでも国家公務員になりたい人のために、国公一般は、東京アカデミーさんの協力を得て、明日、第1回再チャレンジ試験対策一日講座を開催します。
 この間、内閣府、財務省、外務省前で機関紙「国公いっぱん」を2000枚ほど配り、このブログで参加を呼びかけただけなんですが(笑)、結構な数の強者(つわもの)たちが参加してくれます。今日も2人の若者から参加の申し込みがありました。
 
 本当にありがとうございます。
 明日は、全力でエスコートしたいと思います。


 公務員受験年齢 上限引き上げへ 規制改革閣議決定 
                             2007年6月22日 「朝日」夕刊

 政府は二十二日午前、「規制改革推進のための三カ年計画」を閣議決定した。再チャレンジ支援のため、国家公務員採用試験で、2種(大卒程度)と3種(高卒程度)の受験年齢の上限を、それぞれ現在の二十八歳と二十歳からの引き上げを打ち出した。また高度な専門性や技術を持つ外国人の在留期間を五年程度へ延ばす。二〇〇九年の通常国会までに関連法案を提出する。

 医療分野では、一一年度の診療報酬明細書を完全オンライン化し、診療報酬支払いまでの期間短縮などの後押し策を検討する。官製談合の舞台となった緑資源機構は主要事業を廃止し、事実上解体する。

 今回の計画は、規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が五月に策定した第一次答申と、同会議の前身である規制改革・民間開放推進会議が昨年暮れにまとめた最終答申の内容を盛り込んでいる。毎年、改定する方針。

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2005/05/27

誰でもキャリアになれるわけではない その2

 一昨日の続き(出張先の埼玉から失礼します…)。
 なぜ、国1試験に合格した名古屋大学の学生15人のうち、たった1人しか採用されないのか?

 人事院に行って調べてみると、実は、採用試験の合格者は、実際の採用数の2・6倍。かなりの水増しになっている。つまりは、国家公務員1種という市場は、意図的に、採用する省庁側の買い手市場になるようにつくられている(約3分の2の合格者が入省できない)。
 一昨日も書いたけれど、ここで力を発揮するのが、合格後に行われる意中の省庁を訪問して受ける面接なのだ(何度も書きますが、面接が一番重要なんですよ)。

 …で、「誰でもキャリアになれるわけではない」というカラクリを、例えば以下のように、めちゃくちゃデフォルメして書くことができる。
 東大出のAさんと名大出のBさんがいて、どちらも財務省に入りたいと思っているので、6月の解禁日を待って財務省訪問を繰り返すことになる。財務省からは、まず若い係員クラスが出てくる。よく知らないけれど、「キミは、消費税の増税は不可欠と思うか?」とかなんとか話し合うのだろう(笑)。基本的に面接は、入省させたい人間の雰囲気をつかむ場だから、話し合うテーマに深い意味はない。
 しかし、名大出のBさんは、「(消費税の増税は)不可欠です!」とヨイショして答えても、この段階で間違いなく落とされている。なぜなら、面接官の係員は、東大出のAさんのボート部の先輩だったからだ(!)。
 かくして東大出のAさんは、係長→補佐→人事担当課長と面接のグレイドが高まっていき、同期の法学部生と競い合うことになる。名大出のBさんは、他の各省庁を真面目に回るものの(同じようなことが起きていることを知らないまま)、内々定につながる手ごたえがつかめない…。
 結局、Bさんは、霞が関からお呼びがかからず、かといって、いまさら民間企業には就職できず、併願して合格していた地方上級を受け入れて、名古屋に帰る選択をする(可哀相~)。

 ある霞が関の事情通は、言った。
「新採キャリアを面接するのが、キャリア自身だというところがミソなんです。絶対にノン・キャリアにはやらせない。大学の後輩が来るとなるとキャリアの間に情報が駆け回るわけですよ。面接するときには、すでに関係者らは『後輩よ、よく来たな~』って言って合格者の肩を叩いているという、まったくのデキレースなんですよ。ノンキャリに面接をさせれば、そうしたアンフェアな情報が少なくなりなんとか客観的に近い面接ができますけど…。だから、キャリア制度を改革する余地はたくさん残っていますね」
 最近では、各省庁が青田買いで唾(つば)をつけた東大出の受験者がどんどん国1試験に落ちるものだから(笑)、政府は、「合格者を採用数の4倍まで水増しする」というトンデモナイ閣議決定をした(!)のだが、人事院は、試験の公平さを確保するためか閣議決定に背くかたちで現在2・6倍でとどめているというわけだ。
 かくして霞が関のキャリアたちの学閥偏重システムは、永遠に続くカラクリになっている。
 
 はあ~、ここまで書いてきて充実感の伴わない疲れを感じる(笑)。
 僕は、こんなことを書くために組合活動をしているわけじゃないっ! (でも、この話題をアップした途端にたくさんのリクエストがあったんで、自然にフェイドアウトさせることができなくなってしまったわけで…)

 まあ、キャリアってのはこんな風に選ばれていて、仕事ができるとか人間味に溢(あふ)れているとか、他人の心の痛みがわかるとか、そんなこととは無関係なところから入省してくるんですね。
 三島由紀夫が大蔵官僚を辞めて作家になるんだけれど、正直に言うと、三島のような豊かな感性を持った人間は、霞が関では生きていけなかったのではないか…。三島は、そのことを知っていたとすれば、本当に偉い作家だと思うな。

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2005/05/25

誰でもキャリアになれるわけではない その1

 今年の国1受験者は、読んじゃ駄目です(笑)。

 今年の国家1種の官庁訪問の解禁は、最終合格発表日の翌日(6月22日)午前9時だそうな。その日から、採用の内々定の解禁日となる7月7日(たなばた)まで、合格者たちは、意中の省庁へ出向き、面接なるものを何度か受けることになる(はっきり言って、これが一番大事な活動です)。
 人事院の担当者は、「一次試験日(5月1日)から訪問開始日まで、あるいは、訪問開始日から内々定解禁日まで各省庁は、人事院主催の説明会を除き、受験者への勝手な採用アプローチを一切行ってはならない…」と言っているが、それは嘘(うそ)ではないと思いたい。けれど、これから書くようにキャリアへの道はコネクションで敷き詰められているので、人事院の言葉は、形骸化した極めて空疎なニュアンスを帯びざるを得ない。
 難しい試験をクリアしても、誰もがキャリアになれるわけではなく、意中の省庁に入れるわけではないのだ。

 合格者が受ける省庁での面接について書く前に、みなさん、毎年秋ごろに主要大学の教室で開催される人事院の官庁説明会なるものをご存知だろうか? 10年ほど前のこと、わが名古屋大学では行われなかったと思うが、この前、昼食を一緒に食べた経産省2種の青年は、「名大(めいだい)じゃあ、いまでもやってないでしょう。とにかく東大・京大・早稲田・慶応…ぐらいなら確実なんですが。この時点で既にフェアじゃない、間違いなくギャップ(格差)が出てきます」と笑った。
 さらに、人事院の説明会を出し抜くように、各省が勝手に説明会を開いているのは周知の事実だ。有名なのは、僕の出身大学を鼻で笑った男が働いているケーサン省だ。この説明会でOBや人事担当者とつながりをつけることができれば、30点ぐらい稼げる(笑)。

 小説オンリーだった僕が、霞が関で働き始めてビジネス本を読むようになったのだが、最近のお勧めは、神一行『大蔵官僚―超エリート集団の人脈と野望』(講談社文庫)という古本で、ここには、次のようなくだりがある。
 
 大蔵省の青田刈りのパターンは、二通りあるといわれている。そのひとつは、東大のゼミを通じての引き抜き作戦。……二つ目の方法が、すでに伝統ともいわれている東大の運動部からのルート。「とくに東大ボート部は、大蔵官僚予備軍といわれるところで……」ボード部だけにかぎらず、最近の大蔵省新採用者は東大運動部からの引き抜きが目立っているのが特徴だ。

 先の2種青年は、「そんなの、いまじゃ甘いですよ、だって高校閥があるぐらいですから」と「読売ウィークリー」みたいなことを本当に言うのだから呆(あき)れた。今年の『政官要覧』春号を開くと、要職は、財務省を筆頭に東大法学部のオンパレードだ。外務省の大使で東大じゃない人は、タイとフィリピンとミャンマーとモンゴルとパプアニューギニアとアルゼンチンとグアマテラと…だいたいそんなところ(数と場所)だった。
 試験によって公平に選抜されているはずの各省庁のキャリアに、これほどまで学歴の偏重が見られるのはなぜなのか? ちなみに一昨年の国1試験に、わが名古屋大学からは15人がクリアしており、全国8位と上出来の成果をあげているのもかかわらず(笑)。
 東大は、239人の合格者を出しているので、それは絶対数だから仕方がないとお思いか?
 ……しかし、ここで大きな問題が現出する。
 な、な、なんと、名古屋大学の国1合格者15人のうち、省庁に採用された者は、たった1人なのだ!! 東大は、130人が採用されている。

 いったいなぜ?

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2005/04/15

傾向と対策

 いまどきの国家公務員志望者は、どんな傾向(動機)と(試験)対策を練っているのか知りたくて『受験ジャーナル』編集部に行ってきました。2年前の4月号の巻頭インタビューで、国公労連の書記長が公務員制度改革をめぐって草野厚慶応大学教授と対談させていただきました。伝統と定評のある予備校でもあります。
 
 編集者いわく「志望者が、公務員を志望するのは、やはり安定ではないでしょうか。いまも昔も変わらないように思います」。国Ⅱの受験者は、地方上級より多く、年々微増を重ねている(昨年度の受験者7万人)。だいたい現役時に落ちて、1年間予備校でみっちり勉強して合格するのが定石のようだ。予備校は、コマ数にもよるが、60万~120万円ほどかかる。お金がなければ公務員になれないという傾向がわかりました(苦)。
「試験1カ月前は、平均週60時間の勉強漬けで、そこまでやらないと受からないんですよ。いま国Ⅰは東大卒もどんどん落ちますから……」。
 僕が受験しようかな~と牧歌的に思っていたのが、ちょうど10年ほど前で「ダブルスクール」なんていう言葉が流行りだした時代だったけれど、いまでは、予備校で専門的に(2年間)勉強するというのが当たり前なのだ。だって、都内のほぼすべての大学では、授業が終わった後、予備校の講師が大学に派遣されて2時間コースの試験対策講座を開いているというのだから驚いた。
 それから、志望者のなかには「国を動かしたい」という権力志向派から「国民のために働きたい」派、「あんまりガツガツ働かずに自分の生活を守りたい」派までいろいろいることもわかった(笑)。そういえば、最新号の合格体験記を読むと、ある女性は、大学卒業後に民間企業で働いたものの「女性は、結婚、出産すると一生働き続けられない。働ける環境が整っていない」と思い知って、公務の職場を志望したと書いてあった。なるほどな~。

 こちら側からは、国公一般の活動とか霞が関の実態とか非常勤職員の状況などを事実にもとづいて説明しました。編集部は、当然のことながら、大変驚いていました。そもそも予備校などの受験産業は、合格後のことには関知しない方針なのだろうな。
 ただ、受験生にとっては、将来働くことになる職場のリアリティーを知ることは必要なことだろうと思うのだけれど。つまり……、志望者の夢を奪う必要はないが、入省したあと幻滅してほしくないというのが正直なところだ。
 僕は、忘れられないのだ。
 昨年の春、国公一般の労働相談にきた新採職員が、「……霞が関の異常な実態を知らなかった僕が悪いのか? くじ運がなかっただけのことなのか?」と言って、肩を落とした姿を。彼は「せめて野球中継が終わるころに帰りたい」と言っていただけなのに!!

 予備校大手には、あとLECとか伊藤塾とかWセミナーとかあるので、随時、国公一般としてアプローチしていきたいと思っている。

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