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2007/10/31

労働相談の回答は、もう少しお待ち下さい。

 おはようございます。

 先週から、労働相談のメールがたくさん寄せられています。
 相談内容は、内部資料の請求から、国家公務員の各種制度の説明、団体交渉のこと、非常勤職員の働き方への異議、さらには相談者が独自で考えた非常勤職員制度の提案など多岐にわたっています。本当にありがとうございます。

 必ず返信しますので、しばらくお待ち下さい。

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2007/10/30

(談話)07年人事院勧告の取扱いに関する閣議決定にあたって

07年人事院勧告の取扱いに関する閣議決定にあたって
                           2007年10月30日
                           日本国家公務員労働組合連合会
                           書記長 岡 部 勘 市

 政府は本日、07年人事院勧告の取扱いについて、指定職のボーナス及び地域手当の支給割合の改定を見送り、一般職は勧告どおり実施する内容の閣議決定を行った。

 指定職の改定見送りを行った背景には、防衛省前事務次官の業者との癒着問題やC型肝炎問題をめぐる厚生労働省の対応など公務員批判が高まっていること、さらには「構造改革」をすすめてきた政府の責任を棚上げしたまま地方や中小企業を中心に景気回復の実感が乏しいことなどがあり、現下の社会経済情勢を口実に、勧告の完全実施は「国民の理解」が得られないと最終判断したものである。
 歴史を紐解けば1982(昭和57)年に勧告の完全凍結、その前後に勧告の値切りや実施時期の先送りが数度にわたって行われ、また、1997(平成9)年には指定職の1年間実施先送りが行われているが、勧告の一部見送りはその時以来となる暴挙であり、断じて認められない。

 本年8月8日に勧告が出されて以降、2カ月半以上も政府の取扱い決定が棚上げされてきた。安倍前首相の突然の辞意表明により政治空白が生じたとはいえ、人事院勧告制度が公務員の労働基本権制約の代償措置の根幹をなすことの重みを考えれば、勧告を尊重して直ちに取扱いの決定を行わなかったことに加え、公務員バッシングを口実に「国民の理解」をことさら強調する政府の態度は、使用者としてきわめて無責任といわざるを得ない。
 ましてや、政府自ら公務員の労働基本権のあり方について検討をすすめているときだからこそ、勧告尊重の毅然とした態度を示すべきである。

 10月19日に行われた行政改革推進本部専門調査会による「公務員の労働基本権のあり方について」の取りまとめは、責任ある労使関係構築の必要性や労使関係の自律性の確立を述べ、「一定の非現業職員に協約締結権を付与」すべきことを主張している。これは、再三にわたるILO勧告や国際労働基準からしてきわめて不十分なものではあるが、一歩前進と評価できる。
 こうした状況の下で、一部とはいえ勧告見送りに踏み込んだ今回の閣議決定は、人事院勧告制度の主旨に照らして重大な問題を含むものと言わざるを得ない。

 国公労連は、政府があくまでも勧告完全実施の立場を堅持して、早期に「給与法案」の国会提出・改正を行うよう強く求めるものである。
 あわせて、公務員労働者の労働基本権の全面的な回復に向けて、直ちに全ての関係労働組合との誠実な協議を開始するよう強く要求するものである。
                                    以 上

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2007/10/29

どこにでも行って話します。

 こんにちは。

 いま名古屋に出張中です。
 名古屋にある政党関係者や議員、自治体職員さんを前にして、労働現場と労働組合活動の最前線についてお話させていただきました。 

 今週は、北海道へ行き、来週は京都、それから千葉の地域団体にも呼ばれています。『論座』11月号に書いた論文とルポルタージュの反響によるものだと思いますが、基本的に時間が空いていれば、どこへでも行ってお話しますし、品位ある論争もしたいと思います。

 ただ、交通費と宿泊費は出してください(笑)。そのほかカンパや講演料などは、すべて国公一般の会計に入れます。仕事が忙しくなってきたこともあり、アルバイトを雇いたいと思っていまして、その費用にあてたいと思うのです。

 よろしくお願いします。

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2007/10/26

御手洗・財界は、何を考えているのか。

 こんにちは。

 福田内閣は、今年の人事院勧告の実施を見送ろうとしている。理由は、国民が抱いている公務員への不信・バッシングを考慮しようということだろう。国民はたいへんな家計のなかで生活をしているというのに、防衛省の偉い人とか厚生労働省の高級官僚は、在職中に悪いことをしてきた挙げ句に退職金7600万円を懐(ふところ)に入れ、さらに天下り先で甘い汁を吸っている……、こういう構図のなかで、現場で働く公務員一人ひとりへのルサンチマン(憎悪)が広がっているのだ。

 今年の人事院勧告は、青年国家公務員の初任給を中心にした層の一部賃上げが報告されたのだが、これは官民の賃金比較をしたうえでの勧告措置であって、僕は、省庁トップの度重なる不祥事を理由にして若手の部下たちの初任給を改善するという勧告をフイにするのは、道理が立たないと思っている。
 民間企業でも、不祥事があった場合、企業トップの責任と当事者の処分内容が問われるのであって、全従業員の給与を下げたり、ベースアップを反故(ほご)にしたりすることは、ほとんどないのと同じ論理なんだけれど。

 要するに、僕が言いたいのは、公務員をバッシングしても民間賃金は改善しないし、官と民は、どんなときも連帯できる道筋を探究していかなくちゃないということ。


 さてさて、前置きが長くなったけれど、御手洗・財界が、いま何を考えているのかが分かる講演録を入手したので、以下、全文を貼り付けたい。


「希望の国、日本」の実現に向けて 第60回東北経営者大会 
第110回人事労務管理者大会 秋田大会における御手洗会長講演
2007年10月23日(火) 12時50分~13時30分  於:秋田ビューホテル4階「飛翔の間」


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はじめに
ただいまご紹介をいただきました日本経団連の会長を務めております御手洗でございます。本日は東北6県の経営者協会の皆様におかれましては、お忙しいなか多数ご出席いただき、誠にありがとうございます。第60回の東北経営者大会と第110回を数える日本経団連人事・労務管理者大会の合同開催という記念すべき大会において、皆様の前でお話をできることを大変光栄に思っております。
私からは、わが国経済が現在置かれている状況を踏まえ、日本経団連として取り組みを進めております主要政策課題を中心に、お話しをさせていただきたいと存じます。

日本経済の現状
さて、現下の日本経済を見てみますと、2002年度以来、5年連続でプラス成長を続けており、基本的には、緩やかな景気拡大が、今後も続いていくと認識しております。これは、過去数年来、官民が力を合わせて、様々な改革を進めてきた成果であると考えます。
民間部門におきましては、幅広い業界におきまして、厳しいリストラクチャリングを行い、その結果、筋肉質の企業体質が、かたち作られてきております。また、企業収益は過去最高を維持しており、多くの企業は、いまや前向きの、攻めの投資に乗り出しております。一方、政府部門におきましても、企業活動を支える税制や法制度の見直し、各分野における規制改革など、構造改革の取り組みが進められてまいりました。
その結果、経済の様々な面におきまして、プラスの影響が表れてきております。例えば、雇用情勢は、一時に比べましてかなり改善してきておりまして、失業率は4%を下回る水準が続いております。また、有効求人倍率も、全国平均では連続して1倍を上回っております。
また、企業収益の改善を受けまして、法人税を中心とする税収も上向いております。その結果、国の財政も、依然として厳しい状況にはあるものの、最悪期に比べれば、改善が進んできております。
このような景気回復に伴う好影響が出てきてはおりますが、今後も引き続き、わが国経済の持続的成長を維持し、豊かな国民生活を実現していく上で、取り組むべき政策課題は山積しております。むしろこれからが、わが国経済社会の改革の本番であると、言わなければならないと思います。

かかる認識に立ちまして、日本経団連では、本年はじめに、経済社会の長期ビジョン「希望の国、日本」を公表いたしました。このビジョンは、今後10年程度を見通しまして、日本を希望の国としていくために、われわれが必要と考える政策課題を取りまとめたものであります。ビジョンでとりあげた課題は、経済の構造改革をはじめ、通商政策、税制や財政、社会保障制度の立て直し、雇用や地域政策、教育や人材育成問題など、非常に網羅的な形をとっております。
日本経団連では現在、組織を挙げて、ビジョンで掲げた政策課題の実現に、全力で取り組んでいるところであります。

日本経済の主要課題
そこで本日は、ビジョンで取り上げております多くの政策課題の中から、当面私どもが最も重要と考える、四つの課題に焦点を絞って、お話しをさせていただきたいと思います。
その第一は、経済の成長力の強化であります。経済のグローバル化がますます加速し、国際的な競争が激化しております。その一方で、国内では少子化・高齢化の進展によりまして、人口減少社会の到来が現実のものとなってまいりました。そうした中にあっても、国民の生活水準を向上させるために、いかに経済の成長力を高めていけるかが、問われているわけであります。
二番目の課題は、地域経済の活力向上であります。地域の発展、成長なしには、社会全体の豊かさもありえない訳であります。中央と地方の格差、あるいは地方の間の格差の問題は、先の参議院選挙でも争点の一つとなりましたが、この問題にどう取り組んでいくかは、わが国全体にとりまして、極めて重要な課題であると考えております。
第三は、今後、経済社会の支え手となる人口が次第に減っていく中で、一人ひとりの働き方をどう変えていくか、という問題であります。基本的な取り組みの方向を一言でいいますと、老若男女を問わない全員参加型の社会を作っていくということではないかと考えております。
第四は、社会保障制度を中心とする国民生活を支えるセーフティネットの建て直しであります。また、これとも関連いたしまして、日本という国を長期的に維持していくために、少子化傾向にいかに歯止めをかけるかという課題も、極めて重要な問題でありましょう。

成長力の強化
そこで、まず一点目の、経済の成長力の強化について申し上げます。経済全体が順調に拡大していかないことには、生活を支える雇用や所得も生まれませんし、社会保障を中心とするセーフティネットを支えることも、あるいは、社会の中にある様々な格差を解消していくことも、ままなりません。
その意味で、成長力の強化は、あらゆる政策を進めていく上での、前提をなす課題であります。よく、成長重視か格差是正かという議論や、経済成長か財政再建かというように、物事を対立させる議論がございますが、問題の立て方が誤っていると言わざるを得ません。重要なことは、持続的な経済成長の実現を前提に、中央と地方の格差の是正や、国・地方を通じた財政の健全化など、様々な問題のバランスをとりながら解決していくということであります。その意味で、私は、政策の全体最適化を図ることが、これからのわが国にとって非常に大切なことではないかと考えております。

さて、先ほどわが国は今後、人口が減少していくと申し上げましたが、人口減少社会の影響は、経済を支える働き手が次第に減っていくという供給サイドからも、また、国内の需要が伸び悩むという需要サイド面からも、相当な影響を及ぼしてまいります。このため、これを跳ね除けて、持続的な経済成長を実現していくためには、供給面、需要面の双方から、総合的な対策を講じなければなりません。日本経団連のビジョンはこれを、人口減少に打ち勝つ新しい日本型成長モデルと位置づけておりまして、この実現に向けて取り組んでいるところであります。
日本型成長モデルの実現に向けて、まずもって重要な課題は、生産性の向上ならびにイノベーションの推進であります。人口の減少が避けられないとしても、一人当たりのアウトプット、すなわち労働生産性を引き上げることにより、経済全体の成長を図ることは十分可能であると考えられます。
生産性の向上を図るという点からは、まず、先端的設備に対する投資を促進していくことが欠かせません。昨年度の税制改正におきましては、経済界の働きかけにより、経済成長戦略の一環として、減価償却制度の抜本的改革が実現し、4月より適用が開始されております。わが国の減価償却制度が抜本的に改正されたのは実に約40年ぶりのことでありまして、米国などに比べ大幅に遅れをとっていたわが国の減価償却制度も、ようやくこれで国際標準に追いついたと考えております。
これに加えまして、より根本的には、わが国の法人実効税率の水準が、諸外国に比べて高すぎるという問題が残されております。国内に優れた企業を育み、また、海外から質の高い投資を呼び込んでくる上で、法人税率を国際水準並みに引き下げることが重要な問題であります。財政事情もありまして、直ちに実現できなくとも、税体系の抜本改革が議論される際には、必ず実現するよう、引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
同時に、わが国全体の生産性を引き上げるためには、雇用のおよそ7割を占める中小企業の生産性向上が欠かせません。中小企業の生産性向上という観点からは、経営改革とセットとなったIT技術の積極的活用が重要な鍵を握ると考えられます。そこで、中小企業におけるIT投資促進のための税制を拡充するとともに、中小・ベンチャー企業への投資促進や、中小企業における円滑な事業承継の観点も含めまして、総合的・包括的な支援策を講じていくことが重要であります。
さらに、科学技術を中心とするイノベーションの促進も欠かせません。天然資源も土地も少ないわが国といたしましては、他に先駆けて新しい財やサービスを開発・提供し、付加価値を創出していかなければなりません。しかし、イノベーション創出をめぐる競争も、熾烈を極めるようになっております。アメリカやEU諸国などの先進国ばかりではなく、いまや中国や韓国、インドなども、国家戦略として先端的な研究開発への投資を拡大しております。このままではわが国が遅れをとることになりかねません。
この点わが国では、経済界の働きかけもあり、科学技術基本法が制定され、これに基づく科学技術基本計画が推進されております。現在実施中の第3期科学技術基本計画では、5年間で総額25兆円の政府研究開発投資を確保することが目指されております。厳しい財政事情の折りではございますが、科学技術分野への予算の重点的投入と効率的使用を、引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
また、わが国の研究開発活動におきましては、民間部門の投資が占める割合が全体の80%と、諸外国に比べまして著しく高い水準となっております。そこで、民間企業による研究開発投資をより一層促進するために、研究開発促進税制の拡充を図ることが、この秋以降議論が行われるであろう平成20年度税制改正におきまして、極めて重要な課題となっております。

次に、国内における人口減少をカバーして、需要の拡大・創出を図っていくという観点からは、海外各国との経済連携協定や自由貿易協定、すなわち、EPA、FTAの締結促進が重要課題となっております。各国とEPAやFTAを結ぶことによりまして、製品やサービスを自由にやりとりできるようになれば、国内の市場が拡大するのと同様の効果を持つことになります。
日本経団連では、この1年間、東アジアに重点を置いて、とくにASEAN諸国との2国間のEPAの推進について、政府の取り組みに積極的に協力してまいりました。この結果、二国間のEPAはおおむね形が整いつつあり、今後は、既存の線的なEPAを、面的なものに、また、東アジアを中心に、インド、オーストラリア、ニュージーランドを含む形で、できるだけ拡大していく必要があると考えております。また、EUや米国、あるいは、オーストラリアや湾岸諸国など、わが国にとって重要な経済関係を有する国々とのEPAの締結も、加速すべきであります。
経済界といたしましても、政府への要請をするだけでなく、各国との経済界との連携・対話を強化し、交渉が着実に前進するよう、努力してまいりたいと考えている次第であります。

地域経済の活力向上
次に、成長力強化とならぶ二つ目の課題といたしまして、地域経済の活力向上について申し上げたいと思います。経済全体が成長していくことが、まずは重要ですが、その一方で、一部の地域が成長から取り残されるとか、地方の間における格差が拡大するといったことがあってはなりません。
先ほど、有効求人倍率が1倍を上回っていると申し上げましたが、これはあくまでも全国平均で見ればの話でありまして、地域ごとに見れば、依然として厳しい状況に置かれたところもあるのが現実であります。このような状況を克服し、いかにして日本全体を豊かな社会にしていけるかが、問われているのだと思います。
基本的な方向といたしましては、まずはそれぞれの地域が、経済的に自立できるような環境を整えていくことが重要であります。かつてのように、財政面でのバラマキによって、全国一律で底上げを図るというやり方をとることは、困難であると言わざるを得ません。政府におきましては、地域経済の建て直しを図るための新しいプランの策定が進められております。こうした総合戦略の中で、公共資本の整備にいたしましても、あるいは、現在それぞれの省庁ごとに実施されている地域振興策にいたしましても、縦割りを廃し、重点的かつ効率的に実施していくことが重要であります。
また、地方の自立に向けては、行政や財政面でも、現行の仕組みを前提にしていては、やはり限界があると思います。これまでも、地方分権一括法の制定や、いわゆる三位一体の改革など、一定の改革が進められてまいりましたが、日本経団連のビジョンでは、その先に目指すべき抜本的な改革として、道州制の導入を掲げております。
道州制といった場合に、われわれが強調しておりますのが、地域経営の視点であります。産業の誘致、育成を図る上でも、あるいは、観光政策の充実を図る上でも、一定のスケールメリットをもって行うことが重要であります。この点、市町村レベルにおきましては、平成の大合併ということで、数年前には3,200あった自治体が、現在1,800まで再編成されてきております。これに対し、都道府県レベルでは100年以上前の廃藩置県以来、基本的には47都道府県の体制が変わっておらず、近年の産業の高度化や通信・交通手段の飛躍的進展など、時代の変化に対応したものとは到底いえないわけであります。
道州制の導入によりまして、地域ブロックがまとまれば、例えば、東北六県を合わせますと経済規模ではベルギー一国と同等、また、九州七県ではオランダに比肩できる大きさとなるなど、それぞれの地域ブロックは、経済圏として自立していける規模とポテンシャルを十分有すると考えております。お聞きしたところによりますと、東北地域におかれましても、地域ブロックのまとまりで観光振興を進めるなど、すでに様々な取り組みが進められていると、伺っております。
道州制の導入は、言うなれば究極の構造改革であり、政治的なリーダーシップとともに、各地域における熱意なしには到底実現できません。日本経団連では、先月、第一回の道州制シンポジウムを開催いたしましたが、知事の代表、与党の責任者をはじめ、多くの方々から道州制の早期導入への賛意が示されたところでございます。日本経団連といたしましても、引き続き、全国各地でのシンポジウムの開催をはじめ、取り組みを強化してまいりたいと考えておりますので、東北地方の経営者の皆様方におかれましても、ぜひご協力をお願いいたしたいと存じます。

働き方の改革
次に三つ目の課題であります働き方の改革について、申し上げます。この改革のためには、大きく分けて2つのポイントがあります。
一つ目のポイントはワーク・ライフ・バランスへの取り組みです。近年、国民の就労意識や価値観は大きく変化しており、仕事と個人の生活を両立させながら、自らのライフスタイルに合った働き方を求める労働者が増えております。企業としても、そうしたニーズに積極的に応え、労働者が生き生きとやりがいを持って働く機会を提供することで、生産性の向上や競争力の強化につなげていくことが期待されます。
現在、政府では、「骨太方針2007」に基づき、11月末を目処に、目指すべき社会全体の方向性を規定する「ワーク・ライフ・バランス憲章」と、数値目標や政府の政策などを含めた「行動指針」の策定に急ピッチで取組んでおり、私も関係会議に委員として参画しております。
ワーク・ライフ・バランスの実現のためには、労働時間規制の強化などによって進めるべきとの声もありますが、あくまで労使の自主的な取り組みを基本として、政府がそうした取り組みを支援するという形を作ることが必要であると考えております。ワーク・ライフ・バランスが広く実践されるためには、国民の働き方に対する意識改革が必要になります。今年の6月に日本経団連と東京経営者協会の会員企業を対象に行ったアンケート調査結果では、ワーク・ライフ・バランスの課題として、「一人ひとりの意識改革の難しさ」をあげる企業が約8割にも達しておりました。
こうした点などを踏まえますと、やはり鍵となるのは経営トップの役割ではないかと思います。経営者が強い変革意欲を持ちながら、企業文化の改革に努めていく必要があります。経営トップがメリハリのある働き方の実現を目指し、長時間会社にいたかどうかなどの「仕事の過程」を評価するのでなく、「仕事の成果」に対する評価を徹底していくことにより、無駄な残業を減らし、上司や同僚が職場に残っていると帰りにくいといった企業風土の払拭につなげていく必要があると思います。
また、就労を続けたいという意欲を持ちながら、育児や介護などの事情によって通常勤務に就くことが難しい労働者に対して、短時間勤務や在宅勤務など、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の出来る環境を整備することも重要です。
ワーク・ライフ・バランスの実現は、画期的な方法によって短時間のうちに達成されるというものではありません。各社の地道で継続的な取り組みが不可欠であります。日本経団連といたしましても、先進的な取り組み事例の収集と会員企業の皆様への情報提供などに取り組んでまいりたいと存じます。
さて、労働市場を取り巻く環境がめまぐるしく変化する中、先の通常国会には6つの労働関連法案が提出されました。ご承知のとおり、労働基準法の一部改正案、最低賃金法の一部改正案、労働契約法案の3法案につきましては、継続審議となりました。国会情勢は極めて不透明であり、臨時国会における3法案の取り扱いも予断を許しません。格差是正が1つのキーワードとなっておりますので、経営側にとって厳しい修正提案がなされる可能性も否定できません。
日本経団連といたしましては、日本経済の持続的な成長にとって障害となるような修正が行われないよう、必要に応じて働きかけを行うなど対応を図ってまいりたいと考えております。

二つ目のポイントは就職氷河期の若年者の雇用問題、とりわけ職業能力の向上をいかに図っていくかということであります。ご存知のように、雇用情勢の改善もあって、新卒採用市場は好転しております。一部では新卒採用に苦労している企業もあるようでございます。しかし、一方で、90年代後半からはじまった、いわゆる就職氷河期において、思うように就職ができなかった若年者は、年長フリーターなどといわれておりますが、そういった層が約90万人おります。この人たちが固定化することはわが国の経済成長にとって阻害要因となると危惧しております。
私どもは、今年1月に発表した新しいビジョンで全員参加型社会の実現を掲げ、女性や高年齢者の労働市場への参加を訴えましたが、意欲と能力がある若年者が社会で活躍することはその前提であり、将来を担う、彼ら・彼女らの就労を促進することは最優先課題であると考えております。
こうした課題を解決していくためには、企業が積極的に協力することにより、政府の若年者雇用対策の効果を高めていくことが不可欠であると考えております。
具体的には、政府は成長力底上げ戦略の一環として、「ジョブカード構想」を提唱し、職業能力の開発の機会に恵まれなかった層を対象に、「座学と企業でのOJTを組み合わせた実践的な職業訓練」を2008年度からスタートさせるべく、現在、詳細な制度設計に着手しております。
しかしながら、こうした取り組みも、企業がOJTの機会を提供していかなければ、実現することはできません。もちろん、企業の置かれた状況はさまざまでありまして、一律に割り当てというわけにはまいりませんが、ジョブカード構想を、東北地方を含めて全国的に普及させていくためにも、今日お集まりの企業におかれましては、ぜひ積極的なOJT機会の提供をお願い申し上げたいと思っております。
このほかに、わが国には、官民の職業紹介に加えまして、トライアル雇用制度や紹介予定派遣制度など、さまざまな労働力の需給を調整する機能が整備されておりますので、こうしたものを活用していくことも考えられます。そうした機能を通じて潜在能力のある若年者にめぐり合い、中途採用を検討したとしても、自社の処遇制度が年齢に偏重していれば、採用を躊躇することも予想されます。
したがいまして、さきほど述べましたワーク・ライフ・バランス推進の観点に加え、人物本位の採用を進めるという観点からも、各企業はそれぞれの実情を踏まえながら、年齢などを軸とするいわゆる年功カーブを描く処遇制度から、「仕事・役割・貢献度」を基軸とした処遇制度へ見直していくことも必要であります。
また、雇用の多様化が進み、皆様の会社では、長期雇用の社員だけでなく、さまざまな従業員を雇用していることと思います。意欲と能力がありながらも、不本意な形でパートやアルバイトといった働き方をしている若年者がいるのであれば、そうした人材を長期雇用へ転換していく仕組みを整備していくことも、選択肢の一つとして検討していただきたいと考えております。

社会保障制度と少子化
さて、ここまで三つの重要な政策課題についてお話をしてまいりましたが、最後に四つ目の課題として、国民生活を支えるセーフティネットとしての社会保障制度をどう建て直していくか、そして、これに関連して、少子化に対する日本経団連の考え方につきまして、ご紹介したいと思います。
年金、医療、介護制度を中心とする社会保障制度は国民生活の安心、安全の基盤となるものです。ここがしっかりしないと安心が脅かされるばかりでなく、生活不安から個人消費をはじめ経済にもマイナスの影響が出てまいります。
大変残念なことに、現在の社会保障制度に対しましては、年金記録や地域医療の問題もあり、国民の信頼は大きく揺らいでおります。このままでは制度自体が瓦解してしまうかもしれません。多少時間がかかっても制度自体を抜本的に見直し、国民から見て本当に安心できる制度となるよう改革をしていかなければなりません。
そのための基本は、国民の目から見て年金、医療、介護など社会保障制度全体を通じて給付と負担の関係を明確に認識し、納得できるような透明な仕組みを作ることであります。このために、日本経団連は社会保障制度全体に共通する基礎的なインフラとして社会保障個人番号と社会保障個人勘定の創設を提案しております。
こうしたシステムができることで、どのような負担でどのような給付が受けられるのか、自分の年金や介護などの履歴はどうなっているのか、一目瞭然で制度を横断的に理解することができ、制度への信頼性は格段に向上します。
現在政府では2011年度に社会保障カードを導入する方向で検討を開始しておりますので、日本経団連といたしましても、こうした取り組みを支援してまいりたいと考えております。

こうしたインフラを導入した上で、社会保障制度の持続可能性を確保するために考えておくべき点を5つに整理して申し上げたいと思います。
一つ目は社会保障制度の基本はセーフティネットという性格にありますので、所得再分配を通じた社会の安定性の確保、行き過ぎた格差の是正という側面を忘れてはいけないということであります。
二つ目は、その一方であまりにも高負担を国民、企業に求めては経済活力をそいでしまい、結果として、社会保障制度を支える経済自体を壊してしまう可能性があるということです。
三つ目は世代間の負担の公平性をいかに確保するかという問題です。少子化・高齢化に加え、人口の減少が予想される中で、負担を先送りすることは許されません。従って社会保障制度は国民全体が広く薄く支えていくのが望ましいと考えます。
四つ目は制度のわかりやすさを確保する必要があるということです。現在の年金、医療は制度が分立し、しかも年齢や職業によって負担が異なるなど非常に分かりにくくなっております。国民が理解できない制度は信用されるわけはないのでありまして、制度をもう少し簡素なものにしていく努力が求められます。
最後は財政健全化との関係でありますが、わが国財政が危機的な状況をむかえている中で、社会保障関係費は一般歳出の実に45%を占めるばかりでなく、毎年1兆円オーダーで増加していくと見込まれています。ですから、徹底した効率化によりまして、無駄を省くことは当然のこととしまして、これ以上の肥大化を抑制していく仕組みを考えておかないといけないということであります。

以上の五点を踏まえて、日本経団連ビジョンでは中長期的な社会保障給付の伸び率を経済成長率を基礎として、人口全体に占める高齢者の増加分を加味した範囲に抑えることを提案しております。
そのためには、例えば医療では混合診療を解禁して、支払い能力に応じたサービスが受けられるようにするとともに公的保険はセーフティネットとしての範囲にとどめるべきだと考えております。大幅にジェネリック医薬品の導入を進めるとともに、レセプトをはじめ医療全体のIT化を徹底的に進めることも必要になると思います。
このような見直しを行っても、将来高齢化の一層の進行とともに社会保障関係費が増加していくことは避けられません。その場合、先ほどお示しした三つ目の視点に立ち返って、消費税の引き上げにより、必要な財源をまかなっていくことがもっとも望ましいと考えます。
今でも消費税は予算総則において社会保障に充当することが定められておりますが、日本経団連では、さらに進めて社会保障関係費の増加分は、消費税を社会保障目的税に割り当てることで対応していくべきと考えています。目前に迫っております、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げには、消費税の1%、2.5兆円が必要です。この分はやはり消費税率の引き上げによらざるを得ないのではないかというのがわれわれの考え方であります。
また、基礎年金が本当の基礎としてセーフティネットをなすものであるならば、全額を税でまかなうということも考えられるわけです。こうした観点から9月に「税方式も含めて選択肢を広く議論すべきである」という問題提起をさせていただき、新聞等に大きく報道されることになりました。しかし、税方式への移行には企業負担のあり方をどうするか、既に支払った保険料をどうするのか、生活保護との関係をどう理解するのか、といったさまざまな問題がありますので、日本経団連の社会保障委員会で専門的に研究しているところであります。
いずれにせよこの問題は、国民がもっとも安心できて、なおかつ持続可能な制度は何なのかという観点から国民的な議論を行っていく必要があると思っております。

さて、最後になりますが、少子化に対する日本経団連の考え方をご説明したいと思います。わが国は、高齢化と少子化が急速に進み、世界に先駆けて本格的な人口減少社会をむかえることが現実のものとなっております。しかし、わが国経済社会の長期的発展・存立を考えますと、人口の減少傾向に歯止めをかけることは国家的な課題であります。
そのためには、子どもを育てたい人が、安心して育てられる環境を整えていくことが何よりも必要でありまして、私は少子化対策を今年の重要課題の一つとして位置付け、取り組んでいるところであります。
第一に企業における仕事と子育ての両立支援の推進、第二に社会インフラとしての保育サービスの充実、そして第三に子育て世帯への経済的支援、に取り組むべきであると考えます。
第一の対策については、すでに、各企業において、短時間勤務、育児休業期間の延長、テレワーク・在宅勤務など、様々な働き方の選択肢が設けられております。しかしながら、職場の雰囲気などに気兼ねするなど、制度を利用しづらいという従業員の声はまだまだ多いのが現状です。こうした状況を改めていくには、各企業において、男性を含めて働き方を根本的に見直し、効率的に仕事を進めていくことが必要となります。
そのためには、経営トップがリーダーシップを発揮して、職場の雰囲気を変える旗振り役となるとともに、各職場において、管理職と従業員が日頃からコミュニケーションを積み重ねることが重要であります。働き方の見直しが進めば、30代・40代の子育て世代の男性従業員に多い長時間労働が是正され、夫婦で無理なく家事や育児を分担できるようになり、女性が社会参画しやすくなるものと期待されます。
第二の対策として、社会インフラとしての保育サービスの充実があります。近年、働き方や価値観が多様化するとともに、家族や地域コミュニティのあり方が大きく変容し、保育サービスに対するニーズは多様化しております。
したがいまして、保育サービスの充実にあたりましては、行政、地域コミュニティそして企業がうまく連携して、全国画一ではなく、地域の実情にあわせた柔軟かつ多様な対応が必要であります。
都市部に多い待機児童問題に対しては、企業としても地域の取り組みに協力して保育施設の整備に努力する一方で、施設だけでなく保育ママなどの多様なサービスを展開していく必要があります。また、地方を含めて全国的には、保育園と幼稚園の垣根を低くし、既存の施設や地域の人材を有効活用できるようにすべきであります。
その際、公立の保育所については、抜本的な改革を行い、幼稚園と同じように、利用者が施設と直接契約できるようにし、専業主婦を含めて保育を希望するすべての人のニーズに応えられる施設にすることが必要であります。
経済界・企業も、行政と連携しつつ、社会貢献や従業員福祉の向上の観点から事業所内保育施設の単独、共同での整備をはじめ地域への開放、NPOへの協力など様々な局面で積極的、自発的に協力することが望まれます。
私は今年6月に東京都内の企業内保育所を見学しました。子育て支援にとって大変有益な取り組みとして評価されていましたが、利用者からは待機児童や通勤ラッシュの問題を解決して欲しいという声もお聞きいたしました。今後、各地域において、行政と企業が連携して、地域の実情に応じたフレキシブルな施策を講じていく必要性があると強く感じております。
第三の対策として、子育て世帯への経済的支援の充実であります。妊娠・出産時の経済的負担への配慮、教育費負担の軽減などに関して、これまでの税制、各種手当、奨学金などのあり方を見直し、効果的な支援措置を再構築し、充実することが求められます。

おわりに
以上、日本が直面する経済・労働・少子化の問題について日本経団連のビジョンを中心に考え方をご説明してまいりました。こうした考え方のもと、日本経団連は「希望の国」の実現に向けて、引き続き、全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。東北の経営者の皆様にも、日本経団連活動への更なるご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げる次第であります。ご清聴有難うございました。

以上

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2007/10/22

大会アピール!!

 こんばんは。
 国公一般第5回定期大会のアピールを掲載します。
 毎度のことながら、文学の匂(にお)いを漂わせてみました(笑)。

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 大 会 ア ピ ー ル

 私たちは本日、「いまこそみんなで連帯し、労働条件を改善させよう」「法律を学んで強くなろう」のスローガンを掲げて、国公一般第5回定期大会を開催しました。
 結成から4年が経ち、たくさんの労働相談が寄せられています。セクハラ・パワハラ、雇い止め、理由のない解雇、退職強要……。しかし、相談者は組合員となって、当局の納得のいかない対応をただすため、日本国憲法に定められた団体交渉権を行使し立ち上がっています。仲間のみなさん、働く者の強さと労働組合の存在意義を再確認しようではありませんか。
 
 国の非常勤職員は約15万人(正規国家公務員は30万人)。さらに「市場化テスト」実施と公務の業務委託化によって低賃金で働く派遣・請負労働者、関連法人の契約労働者が増大しています。政府が「ワーキングプア」を再生産するという深刻な実態のもとで、「労働者の使い捨てを許さない」という国公一般の活動は、多くのメディアや国民の関心を呼びました。人事院は、07人事院勧告の「報告」で、初めて非常勤職員の給与と制度的位置づけについて検討すると表明しましたが、それを形骸化させない新たなとりくみが求められています。みなさん、働く者の連帯とたたかいこそが、法制度や運用という「厚い壁」を打ち砕くということを確認し合おうではありませんか。

 一編の詩「きみの名前を呼ぶために (ポール・エリュアール)」が、全国の仲間のことを思い起こさせます。
 
 ある村 ある町 きみの声のこだま
 村や町をいくつかに区分していく
 偉大な掟(おきて)
 滅びるものとは正反対のもの 愛される値打ちのあるもの
 きみがいなければ 自分のものは何一つない世界の住人だ ぼくは 
 眠りに落ちたきみの心臓はすべてを忘れる
 ぼくの心臓はのぞいて ぼくらの思い出の外で
 昼につづく夜が ぼくらの絆(きずな)をゆさぶるが
 ついにそれを切ることはできない。

 いまも、ひとりぼっちで苦しんでいる仲間がいます。私たちの呼びかけを待っています。いまこそ国公一般の出番です。年末、国公一般愛知(仮称)が産声をあげようとしています。さあ、雇用形態の違いをこえてみんなで協力し合うという、新しい連帯のうねりを大きくしていこうではありませんか。

                     2007年10月19日
                     国家公務員一般労働組合第5回定期大会

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2007/10/19

毛布のような労働組合を目指して

 こんばんは。

 今日、国公一般第5回定期大会は、無事に終了することができました。運動方針案、予算案・決算、大会アピール……、すべて組合員の圧倒的な支持のもとに採択されました。
 討論での発言者は6人でしたが、それぞれ、国の職場で働く不安定雇用労働者へ労働組合の存在を知ってもらい、ともに手をたずさえて労働条件を改善していこうと訴えました。

 執行部の席に座っていた僕は、以下に紹介する組合員の発言を聞いて、不覚にも涙が出そうになり、新しい労働組合のスタイルについて思いをはせました。

 新たに組合員になったかたへ・・・
(私には、本当は、こんなたいそうなアドバイスはできないんだけどね☆)

 私は正社員として新卒で働いた事は3カ月しかありません。
 最初は、大手企業で、総合サービスを提供する会社で働きました。大手なのに、家族(親族を含めての)経営だったため、新入社員の研修も、もちろん労働組合もありませんでした。
 4月、入社式を行った翌日から、私は、上司から渡された地図を頼りに別の会社へ向かいました。本社での勤務ではなく、サービスを提供する相手先での勤務につかされたのです。
 5月、本社と相手先との受発注の作業を続けるなかで、不正な帳簿つけ、お茶くみをさせられました。連日のように嘘(うそ)の帳簿をつけていました。新入社員が文句を言うと辞めさせられると思ったので、とても苦しかったです。
 今だからいえるけど、胸やお尻を触られるのなんて当たり前でした。
 こうして、連日のストレスから体調が崩れ始めました。
 病院での診察や検査のために仕事を休みがちになりました。
 6月、私は、上司から別の現場への異動を命じられました。そこで、もうやっていけない、と観念して退職届を提出しました。

 民間企業への不信感から公務ならという安心感で、ある省庁でのアルバイトをしました。
 私の場合は人間不信になっていたから、当初は、労働組合もなかなか信用する事ができませんでした。

 ただ、組合員になってかなりの時間を要して、やっと自分にも人間としての権利があることを思い出しました。
 それは、自己主張しても許されるという事を思い出しました。
 
 労働組合に入って、組合のある人が言った言葉は、今でも素敵な言葉だなぁと思っています。

「人が人に寄り添うことが、いかにできるかを僕は学んでいるんです」

 さらっと発せられた一言だったけれど、すごく広い言葉だと思いませんか?
 
 私は「毛布みたいだな~」と思いました。
 
 押し付けられるわけでもなく、ふんわり軽くて心を暖かくしてくれる。
 でも必要としたときには、包んでくれるの。

 今度は自分がそんなふうになれたら……そう思って過ごしている日々です。
 ごめんなさい。これ以上は話せそうにはないので、ここまで。。。
(発言以上)

 
 当然のことながら、労働組合は、組合員一人ひとりのためにあるのであって、組合幹部のエゴや保身のためにあるのではない。どこまでも組合員の気持ちに降りていって、方針や取り組みを組み立てていかなければならない。国公労連は、それを「あたりまえの労働組合運動」と呼び始めたけれど、いま、そのあたりまえの活動ができなくなっている。それはなぜなのか、根本的な自己検討が求められている気がする。

 国公一般の組合員は、「毛布のような労働組合」と言った。
 新しい言葉は、常にいち組合員が働く現場から生まれてくるのだ。

 涙涙涙涙涙涙……、国公一般を支えてくれるすべての方々に感謝!!

 

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2007/10/18

公務員に労働協約――人事院勧告は廃止

 こんばんは。

 いま、明日の国公一般第5回定期大会の準備が大詰めで、今夜は何時ごろ帰宅できるのか……(笑)。

 さっき「日経」夕刊を読んだら、政府の行政改革推進本部専門調査会が検討している公務員の労働基本権に関する報告内容がスクープされていた(スクープというより、たぶん、国家権力に一番近い日経新聞が調査会にべったりすりよってリークしてもらったものなんだけど)。

 見出しは、「公務員に労働協約」「人事院勧告は廃止」。
 
 ……興味のある方だけ、読んでみてください。

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2007/10/17

非常勤職員の命が脅かされる労働現場

 こんにちは。

 今朝の「朝日」一面を読んで、久しぶりに キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! と思いました。

 経済産業省所管の産総研(茨城県つくば市)で、健康被害が出る恐れのある病原体の培養作業(内規違反)を、なななんと非常勤国家公務員にさせていたというのだ。
 しかも、当局は、事実に気づいて是正を求めた元幹部に口止めを要求し、非常勤職員に対しては業務内容の危険性すら知らせていなかったというのだ。人間の命をなんだと考えているのか。

 昨年末、「朝日」一面は、経産省所管の特許庁で非常勤職員の社会保険逃れをスクープ報道したけれど、霞が関だけでなく全国の国の職場で、行政の最前線で懸命に働いている非常勤職員を、まさにモノのように扱っている実態が浮き彫りになりつつある。

 国が率先して官製ワーキングプアを生み出しているいま、国民の安全や安心を担保することが出来るのだろうか、と考えている。

 以下、朝日新聞から。

 危険病原体、ずさん管理 特許生物寄託センター
 2007年10月17日06時03分

 経済産業省所管の産業技術総合研究所の特許生物寄託センター(茨城県つくば市)が、人に健康被害が出るおそれのある病原体約300株を、内規に違反して受け入れ、十分な感染防止設備もないのに、非常勤職員に培養などをさせていたことがわかった。この事実に気づいて早急な対応を求めた元幹部に対し、口外しないよう、再三、求めていた。経産省は遅くとも03年に、こうした事実を把握していた。特に危険とされる病原体3株は今年6月の法改正施行で届け出が必要になったため、5月末に処分していた。

 同センターは、微生物を利用した特許の出願に必要な証明書を交付するため、特許発明者から微生物を預かり、管理を請け負う施設。ただし、世界保健機関(WHO)の国際基準を満たす十分な感染防止設備がないため、04年までは危険性の低い「生物危険度レベル1」の微生物しか受け入れることができないと内規で定めていた。

 しかし、朝日新聞が入手した内部文書によると、01年の時点で、人に症状が出る危険性のある「レベル2」以上の病原体296株を受け入れていた。このうち、84年、88年、90年に2法人1個人から受け入れた3株は、「レベル3」の病原体で、人が感染すると発熱などを起こし、最悪の場合は死に至ることもあるブルセラ菌2株と鼻疽菌(びそきん)1株だった。

 さらに99年までの間、当時29~60歳の非常勤女性職員ら8人に計15回にわたり、「レベル3」として受け入れた菌の培養、生存確認試験などの作業をさせていた。女性らは危険な菌であることは知らされずに、無防備なまま試験していた。当時、同センターには通常の実験室しかなく外部からの出入りも自由だった。

 産総研の幹部によると、内規や知識が組織内に十分周知されず、担当職員が無知なまま、危険な菌を受け入れてしまったようだという。また、産総研は、この菌による感染者は確認していない、としている。

 同センターの幹部の一人は01年にこうした事実を把握、産総研や経産省、特許庁などに対処を求めた。だが、産総研はこの幹部に対し、外部に情報を漏らさないよう繰り返し求めた。

 同センターは、04年になって「レベル3」の菌を施錠できる耐火性の保冷庫に密閉、隔離したほか、「レベル2」は受け入れ態勢を整えた。

 産総研の一村信吾理事は取材に「受託できない微生物を受け入れ、生存確認の試験をさせていたのは事実。ただ、何も知らずに試験した人に事実を告知すると、精神的なダメージが大きいと判断し、告げなかった」としている。

 今年6月に改正感染症予防法が施行され、「レベル3」の3株は、バイオテロ対策の規制対象になった。感染防止設備のある施設でしか扱えず、また、所持する場合も国への届け出が義務付けられたため、同センターは改正法施行の前日の5月31日に3株を処分した。その一方で、一村理事は「2年前に菌の一部を研究機関に預けていた。その菌を調査した結果、今年7月に3株とも危険性の低いレベル1との結果を得た」と説明している。

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2007/10/12

論文「いまこそ非常勤職員を国公労連の仲間に」

 こんばんは。

 国公労連の機関誌『国公労調査時報』(11月号、450円)に、論文「非常勤職員を国公労連の仲間に」を書きました。

 特集は「非常勤、派遣・請負の仲間をいつでも視野に」です。
 小林雅之さん(東京公務公共一般労働組合)の巻頭論文「こうすれば私たちは非正規職員の仲間になれる」、国公労連単組の取り組みなどが並んでいて、読み応えがあります。

 購読される方は、お名前、住所、電話・メールアドレスなど記入の上、メールフォームから申し込み下さい。
 

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2007/10/09

労働条件決める協約締結権「公務員にも付与」 行革本部

 おはようございます。

 朝日新聞の報道です。
 公務員労働者の労働基本権をめぐる攻防が激しくなりそうです。個人的には、ヨーロッパ並みにしてほしいと思います。いまイギリスの郵便労働者が労働条件の改善を求めてストライキを行っています。


 労働条件決める協約締結権「公務員にも付与」 行革本部
(2007年10月05日22時37分)

 公務員への労働基本権付与を話し合う政府の行政改革推進本部専門調査会(座長・佐々木毅学習院大教授)は5日、「非現業」の公務員のうち、一般職員に現在は認められていない団体協約締結権を与える方向で一致した。一方、労働基本権のうち他の団結権、スト権を認めることには異論が多く、とりまとめは見送られた。

 現在は国家、地方公務員とも、「非現業」の一般職職員は労使交渉は可能だが、労働条件などを定める協約の締結権は認められていない。警察や自衛隊、消防職員はすべての職種で認められていない。

 公務員の労働基本権の制限をめぐっては、02~06年に国際労働機関(ILO)が政府に見直しを3度勧告し、一般職職員への協約締結権付与などを要求していた。

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2007/10/08

労働相談の回答は、もう少しお待ち下さい。

 おはようございます。

 昨日今日と休日出勤……、国公一般第5回定期大会の運動方針案の、なななんと4次案を書き直しております。先日開かれた第12回執行委員会で、さまざまな意見・批判が出され、それらを包み込むかたちで書き直すことになりました。
 大会に提出する、活動報告の資料も作らなければなりません(涙)。

 ……というわけで、メールで寄せられている非常勤職員のみなさんの相談への返信は、もう少しお待ち下さい。よろしくお願いします。

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2007/10/04

大企業として恥ずかしい

 おはようございます。

 2007年10月02日、共同通信が配信した記事です。

 大企業として恥ずかしい――偽装請負で舛添厚労相

 舛添要一厚生労働相は二日の閣議後の記者会見で、違法な偽装請負があったとしてキヤノンが栃木労働局から是正指導を受けたことに関し、「大企業として恥ずかしい。今後、きちんと襟を正してくださいということだ」と指摘した。
 また偽装請負を防ぐための規制強化については「今の枠組みの中で十分やれる」と話し、規制強化は当面は必要ないとの見方を示した。
(ここまで)


 霞が関にも、たくさんの非常勤国家公務員だけでなく、民間労働者――派遣・請負労働者が懸命に働いています。
 国公一般の定期大会が終わったら、僕は、霞が関のすべての省庁が契約している派遣・請負業務の一覧表を作成していきますが、福田新首相が、「霞が関として恥ずかしい」と言うことがないように(つまりは、舛添厚労相にブーメランとして返っていく問題ですが……)切に願っております(笑)。ですから、各省庁には、いまから労働契約書・仕様書につき、きちんと身ぎれいにしておくことをお勧めしておきます。

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2007/10/02

パート労働法を武器にする!!

 こんばんは。

 明日の朝は、内閣府の前で、国公一般のニュース配りです。
 福田新内閣が誕生して、初めての内閣府攻めなんですが、また第7機動隊と押し問答するような気配が……(笑)。しかし、僕は、一歩も引かない決意で頑張りますよ。

 最近、用意した500枚が、「あっ」という間に、完全配布できるような状況になっています。「国家公務員は定年退職まで安泰だ」なんていうのは今は昔……、社会保険庁の解体・民営化や独立行政法人化、国の外郭団体の統廃合などがどんどん強行されて、明日の我が身は……、というのがリアルな感覚なのでしょうか。機関紙「国公いっぱん」のリアルな告発が、無視できなくなっているのかもしれません。
 あの人事院ですら、もしかしたら、公務員労働者の労働基本権が回復されれば、無用の長物となってしまうんだし……(笑)。


 さてさて、いま僕が団体交渉を準備している労働紛争事案では、いよいよ改正パート労働法をメインの武器にしてたたかおうと思っている。

 先日、改正パート労働法を学ぼうと、ある大きな労働組合の役員の方にレクチャーをお願いしたんだけれど、その方は、「あの法律は、問題だらけで、ほとんど活用するに値しませんよ」と言い放った。僕が「どうして活用できないんですか?」と聞いたら、その方は「ほとんどの条文が努力義務規定で、相手の会社を縛るような法的強制力がないんですよ。とくにフルタイムパートなんか、ね」と答えた。

 それから、僕は二日間ほど改正パート労働法について勉強したのだが、個人的には、これは使える!!と確信している。先の労働組合の役員は、たぶん、団体交渉で改正パート労働法を使ったことがないに違いない。使ったことがないのに、問題点ばかりあげつらうのは、古い労働組合にこべりついている本当に悪い癖(くせ)だと思う。

 僕は、やりますよ!!
 組合員と3人6脚でたたかい抜きますよ!!

 これから労働相談です。

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2007/10/01

論文「失われた『連帯』を求めて」

 こんばんは。

 昨日、やっと運動方針案の二次案を書き上げました。
 そして、今日は、国公一般の年間計画も書きました。
 疲れましたが、組合員との仁義は守らねばなりません。明日は、面談での労働相談が二件あります。


 さてさて、本日発売の論壇誌『論座』(11月号、朝日新聞社)に論文「失われた『連帯』を求めて」とルポルタージュ「誰でも一度はヒーローになれる」を書かせていただきました。

 小生意気な向きもありますが、僕の、約4年間の組合オルグ活動の総決算的な内容になっています。
 小泉「構造改革」のひずみの一つが、雇用の流動化であり、とりわけ若者たちの働き方、暮らし方に深刻な影響を与えています。
 しかし、いま、やられっぱなしだった若者たちが、新しい連帯のかたちを模索し始めています。ルポでは、そんな一断面を描きました。

 福田新内閣は、格差是正に向けて動き出し、民主党は独自の労働契約法案を国会に提出し、期間を定めた雇用契約を問題にし始めています。こうした動きのトレンドを作ったのは、紛れもなく、若者たちの新しい労働運動だと考えています。
 
 この運動は、本当の意味で、思想・信条・性別・国籍、職場、ナショナルセンターなどを超えて多彩に展開しており、この流れを大きくするという決意を込めて、僕は、全力で執筆いたしました。

 ぜひ読んでいただき、みなさんの意見・批判など仰ぎたいと思います。

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