涙の人事院勧告
こんにちは。
一昨日(8日)、人事院勧告が出ました。
主な内容は、「朝日」「読売」「毎日」とか読んでください(笑)。
3年半前、僕は、本格的に国家公務員の労働組合活動に携わるようになったのだけれど、活動する目的は、1.霞が関の過酷な労働実態を改めること、2.非常勤国家公務員の労働条件を改善すること、この2点だった。
霞が関を歩き回り、名刺を渡しながら非常勤職員さんの声に耳を傾け、ポツポツと組合員になってもらい……、雨が降ろうと風が吹こうと機動隊と激突しようと内閣府・財務省・外務省の門前で機関紙「国公いっぱん」を配布し続け……、年数回の人事院と総務省のキャリア連中と粘り強く交渉し……、国公労連の仲間たちと長過ぎる会議を重ね(笑)、各省庁や外郭団体に団体交渉を申し入れ……、ブログを書き続け、マスコミの方々が取材して記事にしてくれ、国会でバカキャリアを追及してもらい、それから、内部情報で裏づけた「霞が関中央省庁で働く非常勤国家公務員の労働条件一覧」の記者会見を行い……、
振り返るとき、僕たち国公一般がやってきたことはただ一つ、霞が関が、長い長い間、隠蔽(いんぺい)し抑圧し続けてきた非常勤国家公務員の生の声を国民のみなさんの前に届けることだったとわかる。彼女たちは、自分たちの労働条件や制度についてまったく何も知らなかったから、声のあげようがなかった。
あれから、3年半の年月が経ち……、いま、
人事院は、人勧制度史上、初めて非常勤国家公務員の給与と制度に対する問題意識の表明を行った。
こんなふうに↓、たった数行の記述に過ぎないけれど、僕は、その記述を何度も何度も左から右へと視線を移動させているうちに、思わず涙が出てきた。
「職員の給与等に関する報告」
(3) その他の課題
ア 住居手当 (略)
イ 非常勤職員の給与
委員、顧問、参与等以外の非常勤職員の給与については、一般職の職員の給与に関する法律第22条第2項の規定に基づき、各庁の長が、常勤の職員との権衡を考慮し、予算の範囲内で支給しているところであり、多様な職務に応じた様々な処遇が行われているが、同様の職務に従事しながら、所属する府省によって必ずしも均衡がとれていない事例も見受けられる。本院としては、非常勤職員の給与の実態の把握に努めるとともに、それぞれの実態に合った適切な給与が支給されるよう、必要な方策について検討していくこととする。
なお、非常勤職員の問題については、民間の状況もみつつ、その位置付け等も含めて検討を行う必要があるものと考える。
……霞が関で出会った非常勤職員さんたちの顔が次々と浮かぶ。
その大半の方々は、いまはもう、霞が関の職場にはいない。月2万円の賃下げに納得いかないと怒った人、「若返りのため」という理由でクビを切られそうになって労働相談に駆け込んできた人、セクハラにあってメンタルシックで苦しみ抜いた人、パワハラに泣いた人、「雇い止め」で泣く泣く辞めた人……、しかし、精神的に追い込まれた彼女たちは、勇気をふるって労働組合・国公一般に連絡してきたのだ。
僕たちは、全力でたたかった。相談者の一人として裏切ったことはなかったと断言できる。
初めて国公一般に加入した非常勤職員さんは、クビになる3月末まで2週間しかなかった。
「なんで国公一般に入ろうと思ったの?」
そう僕が訊(き)くと、彼女は、
「……はい、確かに私は、あと2週間もすれば『雇い止め』(=クビ)になっちゃうけど、次に職場に入ってくる、まだ見ぬ後輩のために国公一般に入って何をかしたいんですよね」
そう言って、組合費である1000円札を手渡してくれたのだった。
非常勤職員の声は小さく、か弱いものだった。
けれど、そんなあなたと、労働組合とのコラボレーションによって、このように国家権力は動き始めたのだ!!
すべてに……、無駄だったと思ったことも含めてすべてのことに意味があったのだ!!
非常勤職員のみなさん、本当にありがとう!!
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