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2007/05/02

メーデーの夜

 こんにちは。

 ゴールデンウィークの谷間の営業日、みなさん、頑張って働いていますか?
 僕は、朝から労働相談2件に取り組んでいます(笑)。

 昨日は、5月1日メーデーの日で、僕は東京・代々木公園へ向かいました。
 僕が本格的に労働組合活動を始めて4回目のメーデー。朝からどんよりと曇(くも)っていて、お昼からは雨が降り出しました。意気高く!!というわけにはいかなかったけれど、4万人近い働く者が会場を埋め尽くし、思い思いのデコレーションやコスプレ(?)などで「労働者の祭典」を祝いました。

 傘(かさ)を差して、ひな壇で情熱的に訴える組合幹部や政党代表者、文化行事などを眺めながら、僕が感慨に耽(ふけ)っていたことは、この4年間の労働運動についてだった。僕は国家公務員の労働組合で働いているけれど、第一に、非常勤国家公務員や派遣、請負会社の契約労働者など非正規労働者からの労働相談が圧倒的に増えてきていて、その解決のために奔走すればするほど、組合のあり方そのものが問われているということを痛感しています。
 そのことは、僕が余技としてかかわっている首都圏青年ユニオンの活動を重ねてみると、ますます深刻さを帯びてくる。

 登壇する「偉い人」に続き、たどたどしい感じで、16歳の女の子が立った。

「あ、あの子だ……」

 この前、首都圏青年ユニオンに相談して、初めて団体交渉にのぞんだ16歳の女の子がいて、僕も団交のサポートに入ったのだけれど、そんで会社側と誠実に話し合いをすることでアルバイトだけれど解雇撤回を勝ち取ることが出来たのだけれど、「解雇」の理由が、ななななんと、「髪の毛の色」なのだった(!)。
 会社側は弁護士を立てて丸め込もうとしたけれど、16歳の女の子は、最後に凛(りん)とした表情で、こう言った。

「私は、店長と個別に話し合い、社員さんとも話し合い、団体交渉をしようと決めた。それは、このままでは納得がいかない、許せないという気持ちから。店長から『髪の色を直す意思はないか』と言われて一週間悩んだ。けれど、どう考えても納得がいかなかった」
「私は、これからもこの会社で働きたいし、これまで一生懸命働いてきた自信がある。それを、いまの店長から『これまで働いてきた1年間のことなんてどうでもいい』と言われた。前の店長のもとで1年間働いてきて、時給は800円から820円へ20円上がった。それは、自分の働きぶりが認められたから。前の店長は『頑張ってくれているから時給を上げるね』と明確に言ってくれた。この20円が、私が認めてもらった証明で、自信をもって言える。それを『髪の毛の色』を理由に辞めさせられるなんて、納得いかない。(それをこのまま泣き寝入りしてしまったら)これから働く人も困るはず。こんなトラブルを繰り返してもらいたくない」

 ユニオンの書記長は、彼女の言葉に、言葉を添えた。
「彼女が中学を出てすぐ、初めて仕事をしたのが、この会社だった。彼女はフルタイムで一生懸命働いて、夢を持ちながら、給与のなかから僅かだけれど家に仕送りもしていた。前の店長から文句一つ言われない、しっかりした働きぶりだった。そんな彼女に、不用意に『言うことを聞かなければ解雇!!』とか『髪を染め直さなければ、店長に従わなければ、君とは仕事ができない』なんて不用意に言わないでほしい。彼女にとって、その言葉がどれだけ暴力的なものか……。彼女は、文字通りアルバイトのお金で1カ月生活している、月々数万円だけれど切実な問題なんですよ。お互いに働きやすい職場にしていきませんか」

 

 日経新聞などは、雇用状況は好転したとか報道しているけれど、日本経団連の「経労委報告」は、今後、ますます「多様化する働き方」を奨励し、その雇用形態の核が「派遣」であり、「請負」であり、「労働者の個別管理」だということが読み取れる。たぶん、財界が、年功序列賃金と終身雇用を柱とする正規社員を増やすことはありえない。そういう時代の労働組合のあり方、国家公務員労働組合のあり方を考えていたのだ。

 作家の村上龍さんの考えている「物語」とは別の方向で、僕は、僕たちのサバイバルの物語を創造していかなければならない。


 こんなことをつらつら考えながら、恒例のメーデーの夜の飲み会へ(笑)。
 僕の隣りに座った、国公共済会の若い女性職員が、「最初、がぶりさんと会ったとき、とてもいい人だと思ったけれど……」と呟いた後に長々と黙ってしまったのが、僕にはショックでした(笑)。

 

 ……もう、バカバカッ。

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コメント

がぶり様、4月から中学生を相手に「主権者意識」をもたせようと働きかけています。そういう我々ですが、やっと労安規程や子育て支援施策、そしてメンタルヘルス対策も策定されて、少しずつ働く条件も改善できるのでは、と思っています。
ちなみに私の先月の超勤は30時間を超えました。今月は早くも(3日間)で12時間に達しようとしています。明日と明後日でも8時間になります。こうした実態を踏まえて交渉に臨むつもりです。

投稿: hide | 2007/05/03 午後 09時29分

がぶりさん
青年ユニオンの最年少組合員のたたかい、私も会場で、心の中で、こぶしをグッと握って聞いてました。
ご紹介ありがとうございました。
トラバさせていただきました。

投稿: 編集者N | 2007/05/06 午後 06時00分

  hide さん、学校の先生も大変なんですよね。本当に労働条件をよくしないと、教育そのものが成り立たなくなるでしょう。お互いに頑張りましょう。

 編集者Nさん、コメント&トラバ、ありがとうございます。
 また、依頼があれば原稿書きますので(笑)。

 今後ともよろしくお願いします。

投稿: 国公一般担当者 | 2007/05/08 午前 10時16分

はじめまして。突然の書き込み失礼いたします。

某巨大掲示板でこの件を知り、怒りに震えてる者です。
まるで美談のように書かれていますが、よく読めばただのこの子のわがまま。
店側がマニュアルに乗っ取って指導した所、逆ギレしただけにしか見えません。

このユニオンというのは公私混同のわがままを力づくで通すために存在するのですか?
納得できません!

投稿: どあ | 2007/05/20 午後 11時56分

情報のミスリードで美談仕立ては、真相を知った時、変な憶測を呼び
本来、救いが必要なところにまで悪影響を及ぼします。
この件、当事者のような記述ですが、私個人で調べた範囲で食い違う部分が
2点あります。

---------------------------------------------------------
1.>彼女はフルタイムで一生懸命働いて
 通常、フルタイムといえば週5日~6日8時間以上をイメージします。
 この仕事分は、残業不払い問題が発生している牛丼チェーンで働いている分
 で、この染髪問題に関しては週1回3.5時間、月にして約12000円弱の話

2.>この女性に対してのみ注意が、あったかのような表記
 新任店長は該当店舗で働くアルバイト各位に、注意、指導、指示を行ってい ます。
---------------------------------------------------------
これは、意図的な記述なのでしょうか?
また、残業不払い問題が発生している牛丼チェーンで働いている件に全く触れていないのは、知られてはいけない部分があるのでしょうか?

それとも、某巨大掲示板レベルの信憑性でブログ運営されていると解釈すべき
でしょうか?とても悲しく思います。

投稿: 匿名を希望します。 | 2007/05/22 午前 04時34分

コメントに対するレスはないんですね

投稿: 通りすがり | 2007/05/27 午後 09時44分

記述内容に誤りが、あったので修整に参りました。
>残業不払い問題が発生している牛丼チェーンで働いている分

彼女の働いている牛丼チェーンでは、残業不払い問題は発生していませんでした。

では、なぜデモに参加していたのか?
家庭の事情と推察します。

記事自体が偏向していると、真相を知りたいという欲求に駆られます。

投稿: 匿名を希望します。 | 2007/05/28 午後 03時44分

 遅ればせながら、回答します(笑)。

1.彼女はフルタイムで一生懸命働いて……

 彼女は、職場に入り、約半年以上の間、週5日8時間、あるいは週4日8時間の勤務を行っていました。長めの勤務を希望していましたが、ランチパートは主婦の方が多く、彼女のような新参者は、シフト上、時間が削られていくのが通常だったのです。
 そういう状況のなかで、彼女は、別のバイトをかけ持ちすることになりました。団体交渉の時点では、新聞報道の通りです。
 団体交渉にのぞんだユニオンの書記長は、昨年1年間の全体の働き方を考慮に入れた発言をしたまでです。

2.この女性に対してのみ注意が、あったかのような表記……
 僕は、彼女だけに注意があったとは書いていません。新店長や正社員は、職場の同僚(アルバイト)にも指導を行っています。
 しかし、問題は、その指導に合理的な理由があるのかどうか、その指導に働く者が納得するかどうかなのです。労働者は、会社の「奴隷」ではありません。
 僕個人の意見では、髪の色で「解雇」をちらつかせるやり方は許されないと思います。髪の色をどうするかは基本的人権に属することですし、今後、外国人に労働力をゆだねざるを得ない日本社会としても髪の色は自由であるべきです。
 もちろん会社の指導に納得して髪を染め直した人は、その人の選択ですし、まったく問題視する必要もありません。

 僕は、彼女から直接話を聞いただけでなく、団体交渉にも参加して、会社側の弁護士と新店長、マネージャーなどの話も聞きました。その上でのブログのエントリーです。
 団体交渉の席において、会社は、指導する際の説明が不十分だった、前店長の指導がルーズだったと謝りましたし、こちらは、働きがいのある職場ですし、今後も働く意志があることを伝えました。髪の色は許容範囲との結論にいたりました。

 匿名掲示板でいろいろと書かれているようですが、この事案でもっとも大切なことは(団体交渉など未経験の方が多いと思いますので書きますね……)、①会社側のやり方に納得がいかない労働者が、②労働組合に相談して団体交渉を申し入れ、③会社側が団交申し入れを受け入れ、労使の間で誠実に話し合いが行われ、円満に解決した、という働く者としての当然の権利行使と納得のいく結果が得られたということなのです。

 女の子の要求そのものには、さまざまな評価があると思いますが、匿名掲示板などであれこれ「批判」されるべきものではありません。当事者同士の問題なのです。団体交渉の本質は、①働く者にとって納得のいかない問題がある場合(それは、原則として、最初は、どんな性質のものでもいい)、②労働組合に加入して、その問題や要求を集団的に検討し、そのうえで労働組合法に基づき、団体交渉を会社に申し入れ、③労使で誠実に話し合う過程で、会社側にきちんと説明責任を果たさせる、というところにあります。
 
 要は、会社の乱暴なやり方を改めさせて、(決して働く者の要求が実現しなくても)こちらが納得いくような説明がなされれば、団体交渉の意味はあった、ということなのです。

投稿: 国公一般担当者 | 2007/06/12 午前 11時14分

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