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2007/03/16

VS(株)A社 第2回都労委あっせん

 本日午後、国公一般は、東京都労働委員会において(株)A社との4カ月にわたる紛争にピリオドを打ちました。突然のように会社から解雇された若い組合員10人は、年末の寒風の路上から厳しい求職活動を始めましたが、春になろうとしているいまだ、大半が次の職場が決まっていない状態なのでした。
 しかし、求職活動の忙しい合間を縫って、2回の労働委員会のあっせんに、ほぼみんな駆けつけたのだった。

 昨日ほとんど寝ていない僕(177センチ、70キロ)は、髪がぼさぼさ、顔色も悪く、よれよれのワイシャツに茶のスーツ、黒革のコートも色が剥(は)げ落ちている……、交互に出す足がつんのめって絡まりそうだった。3年あまりのうちに、なんとうらぶれたものでしょうか。
 あっせんが終わり、東京都庁南棟を出て、JR新宿駅西口まで歩いていく途中、組合員の女性から「がぶりさん、不規則な生活してるでしょ?」と声をかけられ、ふいに涙が出そうになった。

「な、なんで?」
「だって、この前、あっせんの案について意見を言おうと電話したとき、『夜ご飯』だとか言って、お菓子バリバリ食べてたもん、聴こえた」
「そ、そうでしたか……」
 彼女は、少し嬉(うれ)しそうに笑ったのだった。そうして「本当にありがとうございました」と頭を下げた。
「がぶりさんのやっている労働組合の仕事なんて、わたし、まったく知らなかった。けど、がぶりさんを見ていたら、本当にやりがいを感じてやっているように見えて羨ましいなァ、って思った……」
「……普通は、こんな仕事、誰も知らないよねェ。でも、多くの働く人たちを助けることの出来る仕事なんだよ」
 そう言って僕は苦笑いした。

「いつ死んでもいいと思ってやってるんだ」
 僕は、少し気障(きざ)かと思ったけれど、このときの気分はほとんど昇天寸前だったから、嘘(うそ)を言ったつもりはなかった。確かに、僕は、いつ死んでもいいと思ってやってるんだ。
「カッコいいですね」
「……そうでもないよ。ホントは、僕が弁護士だったら、あっせんなんかに持ち込まず、ストレートに労働審判に持って行けたのに、ごめん」
「審判は弁護士料がかかるよ」
「オルグが弁護士ならお金はいらないのに、な」
 都庁前の長い長いトンネルのような暗い道が途切れて、西口に入っていく。
「じゃあ」
 組合員の誰かが声をあげた。
「あ、じゃあ」
「じゃあ」
「本当にありがとうございましたァ」
「本当にありがとうございましたァ」
 僕は、コートの片ポケットから手のひらを出すと、みんなに小さくバイバイした。
 そのまま、ヘッドフォンを取り出して、両耳に当てた。音楽が鳴った。そうして、JR新宿駅の雑踏のなかに入っていく。
 キオスクの夕刊ラックに刺さった新聞には、「堀江被告 実刑」という見出しが躍っていた。
 そんなことは、どうでもいい、僕には、これからの組合員たちのことだけが心配だった。

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