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2006/12/13

恥を知れ!!

 こんばんは。

 今日の午前中、東京・お茶の水にある全労連会館に行き、労働運動専門誌『学習の友』編集部に原稿を渡し、ついでに全労連にも寄り、組織部の幹部の方とコーヒー飲みながら、今後の労働運動のあり方について意見交換しました(なんか、こう書くと、自分が偉い人のように見えるから不思議だな……)。

 午後、虎ノ門の立ちそばや「小諸そば」で、新メニュー「冬うどん」(これは、ふるさと愛知県岡崎市の八丁味噌を汁で溶いた味噌煮込み風うどんで、結構いけますよ!!)をツルツルと食べ、そのまま霞が関の東京高裁818号法廷に急ぎました。なぜなら、午後1時15分から、国立情報学研究所非常勤国家公務員「雇い止め」事件の控訴審判決が言い渡されるからなのでした。

 ブログ読者のみなさんなら、記憶に新しいと思いますが、今年3月に下された一審判決は、天地がひっくり返るほどの画期的な内容で、国の「雇い止め」を解雇権の濫用として違法と断罪し、原告である元職員の労働者性と損害賠償を認めるものでした。裁判長の、すばらしい文章は、今年のベストフレーズとして機関紙「国公いっぱん」12月号「今年を振り返って心に残った言葉」に引用してしまったほどでした(笑)。
 だって、これまで長いこと「雇い止め」を国の裁量の範囲内だとはねてきた裁判所が、とうとう任用関係においても、きちんとした手続きが必要なのだと初判断した判決でしたから。

 前置きが長い? それには、悲しい理由があるのです。

 さて、法廷818号室に遅れて入ってきた裁判官は、礼を交わすなり、主文朗読……、一審判決が明快に認めたはずの①労働者としての地位、②損害賠償、いずれをもひっくり返し(取り消し・棄却)、なななんと、理由も述べないまま、退出しようとした、そのとき(!)。

「恥を知れ!!」

 傍聴席から、我慢ならんという感じで支援者から厳しい一声が裁判長の背中にぶつけられました。すると裁判長は振り向き、声がした方に向かって5秒ほど睨(にら)みをきかせた。
 
 たかだか1分ほどで閉廷。

 僕たちは、廊下に出て控え室にぞろぞろ移動。30人をこえる支援者たち、日本最強の弁護団、マスコミの記者たちが、この最悪最低な判決内容について検討を加えていった。
 伊藤弁護士は、「最悪な判決だが、一審判決によって大きな光が見えたことは間違いない。その意義は、失われることはない」とのべました。この裁判には、たくさんの学者たちが意見書を提出、全労連は1万4000筆の署名を提出、支援の輪が全国に広がったのでした。
「これらはすべて、次のたたかいの武器となるはずです。がっかりする必要はありませんよ」(伊藤弁護士)
 続いて上条弁護士は、「最悪の判決を前に、一審の説得力は、ますます広がるでしょう。高等裁判所は、もともと実質的な審理をしようとしなかった。一審の効果はなくなるけれど、事実と道理に立った一審判決が出たという社会的事実は消えない。負けても負けても運動が続く限り、きっと勝てる」と力強く激励してくれました。
 
 そうこうしているうちに判決文を持って入ってきた黒岩弁護士、判決理由を読み上げながら、「……問答無用に切り捨てる形式判決です。これが法というものでしょうか?」と問いかける。僕は、ほとんど泣けてくる。判決は、任用行為だから雇い止めをしても解雇の濫用権をゆがめる余地はない、そもそも契約したときに任期満了を自覚できた、とのべ、原告側の主張を吟味するどころか高みから一刀で切り捨てていたからだ。実質的な判断をまったくしていないのですよ。
「上告して最後までたたかいたい。希望を捨てないでいきましょう」(黒岩弁護士)
 その他、「準備書面を読まずに判決文を書いたのではないか」「われわれの論に触れていない」「予想していた判決だが、本当に残念だ」「引き続き署名やカンパ、よろしくお願いしたい」などの声が寄せられました。

 冬の寒風吹きすさぶなか高裁を出た。
 霞が関を歩きながら僕、だらしのない僕、忙しくて停止していた法律の勉強を再開しようと心に強く誓ったのでした(笑)。それから、なぜかわかんないけど、韓国語も勉強しようと思ったのでした(笑)。

 「冬うどん、マシソソヨ~」

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