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2006/08/17

闘う女子高生

 暑中見舞い申し上げます。
 ムシムシです。
 ひさしぶりのjrです。

 こんな暑いときに血と汗の出そうな話なんですが、労働組合のオルグっていう仕事は、何度言っても言い足りないほど大変な仕事なんですね~。

 国公労連の本部で働く私は、オルグという立場ではないのですが、その傍(かたわ)らで連日のように霞が関の中央省庁の職場から寄せられる労働相談の内容の一端を小耳に挟(はさ)むことがあります。個人のパーソナリティー(性格)をぐちゃぐちゃに破壊され、直接的に知り合いでない私でさえもその一片を聞くだけで、吐き気と、目を覆いたくなるような感じ。そういう労働相談が日々、国公一般に寄せられているのです。

 オルグでない私ですら逃げ出したくなるような相談なのですから、それをもろに相談者と共有し、そして責任をもって長期間、不安でいっぱいの相談者の生活と人格、人間性を守るアクションを起こすことを日々考えているオルグという仕事は、なかなかやれない仕事だと思います。
 オルグになる資格の第一は、いつも冷静であることかな~。つまり、確固たる安定感を持っている人でなければなれんと思うのですよ。

 そうはいってもね、いざ、働く現場で、自分の生活を守るため、最前線でたたかっている相談者が抱えるやり場のない怒りや虚無感と絶望は、それを受けるプロのオルグにとってさえ、やはり鋭利な刃物で刺されるような「痛み」をともなうものだと思います。
 (冷静を装っていても)相当のダメージって受けるわけで、、、。

 うわわ……、前置きがメチャクチャ長くなりましたが、そのオルグであるガブリ寄りが忙しすぎてか、そのいろんなところから無血のダメージを受けまくってか、飛び込みの相談があるんだとか、とにかく今夜はブログが書けないとのことで、わたくし、jrが代筆させていただきたく思います(笑)。

 ところで、私はこのような‘官’の労働組合ともに、自分のライフワークとして‘民’、つまり民間企業で働く若者たちの労働組合(首都圏青年ユニオンと言うところですよ。ガブリ寄りも関わっていますよね)にも携(たずさ)わり、国家公務とは別種の、とってもえげつない民間企業の職場の状態をリアルに聞いたり見たりしています。

 そして私が思うに、官公庁の職場の酷(ひど)さも、民間の職場の酷さも種類・タイプが違うだけで、その危機的状況においては大差はなく、とりわけ労働者の権利に関しては、本当に、まったく、双方ともに守られていないと感じています。労働者いじめが常態化しているわけなんです。

 その悲惨な職場のなかから「異議申し立て」の行動を起こすことは、働く者当人にとって本当に大変な決意と、信念と勇気を必要とします。だからこそ労働組合は、全力で行動を起こす労働者を守り、バックアップするんですよね。

 
 あ~。

 ところでところで(笑)、先日私にとって、とても劇的刺激的な事が起こったのでそのお話を少しだけ書かせてくださいな。

 それは先日、私が、定時制高校生を前にして労働組合の活動とか労働者の権利なんかを話す機会があったときのこと。
 その時にたまたま知り合った(クミちゃん・18歳)。彼女は、バイトに明け暮れ、定時制夜間部に通うフツーの女の子。

 私が「バイトでも有給休暇取れるんだよ~」って話したら、そのクミちゃん、俄然、食いついてきたのでした(笑)。
 彼女は私に、 「お昼間働いてる某大手スーパー『R』へ有給申請したい」と相談してきたのよ(8/1付の『がぶり寄り』参照してください)。

 クミちゃんは京都に住んでおり、わたくしは、どうしたモノかと(高校生だしな~と)思案しました。
 
 講演にはクミちゃんのお母さんも来ていたので少し話をすると、やはり親としては、「そんな、バイトの身で有休なんて会社に申請したら、もめ事にならないしら?」と言い、とても心配そうな表情でした。 しかしながら、このストーリー上、かなり重要なことは、本人(女子高生クミちゃん)がもうやる気になっていることで(笑)、それならば、私は、協力しよう、できるだけのサポートをしようと、ここ東京に帰って来るなり、すぐに首都圏青年ユニオンに連絡したのでした。
 それで、私は、クミちゃんとスーパー「R」に対して、いかに有給申請をするかという対策なんかを真面目に話し合ったんだ。

 以下、クミちゃんとのメールのやりとりや電話等をまとめたもの(笑)

 私) クミちゃんが、とても真剣に働くこと、そして勉強に打ち込んでいることに深く感動いたしました。先ほど相談された有給休暇の件ですが、まず、「R」に、直接、有給休暇がとりたいと言ってみましょうよ。一番言いやすい人がいいですね。総務の事務の方に言って「調べとくよ」などと言われたら、「~日に有給がとりたいのでお願いします」と言うのもいいかもしれません。しかし、「うちの会社はそんなモノない」とか言われて、休暇取らせない可能性も大です。その場合は、クミちゃんの住んでいるところの労働基準監督署(ネットはありますか?調べれば、会社のある京都の労基署がわかるはず)に申請に行くことができますよ。自分の雇用条件などを申請の紙に書いて、監督署に訴えるのです。そうすると、会社に是正してもらうことができます。しかし、高校生であること、バイトであること、女であることなど、勝手な大人の都合で断られる可能性もあります。次に京都には「京都総評」というおっきな労働組合があります。一度そこに相談して「どうしても有給とりたいんだ」と、学業と仕事の両立の困難さなどを話しつつ、「バイトでも取れるはずだと聞いた」と相談しましょう。その他にも全国一般という労働組合もありますし。いろんな労働組合を見て相談するのもいいかもしれません。そして、重要なことですがクミちゃん一人で行動することは危ないよ、だって一人だと、あとあと「R」で働き辛くなるのではないかと思います。職場でいじめられちゃうかもしれません。それに耐えれるか心配ですし、辞めなければならなくなるかもしれないし、ものすごく傷つくかもしれません。心配に思います。

 ~中略~

 ただ、もしクミちゃんが何か行動するなら、その事は、クミちゃんだけでなく、その職場の全体の労働条件の改善(働きやすさ)に繋がるのは確かです。そして、何か行動にうつすということは自分にとっての成長と、社会にとっても有益なことに繋がる事でもあると思います。働く者は働きやすい会社でこそモチベーションを高められると思います。

クミちゃんのメール)

 ~中略~

 高校で有休取れるという話を聞いたときから、明日仕事に行ったら私の一番身近のチーフに有給の事を聞いてみようと考えていましたので、実行したいと思います!

クミちゃんからの電話) アルバイトなのに本当に取れるのですか?パートしか取れないと思っていました。何日取れるとかって会社が決めるのではないのですか?(いじめられるかもしれないという私の心配に)心配ないですよ。怖くないっていうか。。

次の日)
クミちゃんメール) チーフに相談しました。「わたし、店との関係が悪くなりそうだから言えなかった」と言うと、「そんな事はないよ」と言ってもらえました。今日は返事が出来ないけれどまた話をしてくれるそうです。

2日目) 
クミちゃんメール) 今日、店の次長から話があって、有給が取れるそうです。かなりスピーディーに話がついてしまいました。

そのあとの電話で)「お店で働けなくなるかも知れない。すごく不安で言えなかった」って言ったら、チーフは凄く心配してくれて、すぐ行動してくれたんです。「何日前に取りたいと言ってくれればいいよ」って、申請用紙に書くこととか、丁寧に教えてくれたん。

その後メールで、、、)有休を取れたという成果は、会社の相手に的確に有給の日数、そして申請の仕方を引き出せた事。これはクミちゃんの策略の勝ちですね。相手が認めているので今後撤回する事が出来なくなり、かなり、こちらの有利に働いてきますよ。ここで重要な事は、相手はクミちゃんのその素直さ、純粋さに動かされていることです。このことはクミちゃんが、いかにいつもまじめに仕事に取り組んでいたかを表していると思います。労働者の権利というのは、本当に切実、純粋な人に、その威力を強く持ち得ます。大変私はうれしいです。ちゃんと有給取れたら教えてください。

そして昨日のクミちゃんメール) ご無沙汰していま~す。クミです。今日やっと初めての有給休暇を取ることが出来ました~! 今後は、月に2,3日のペースで貰える予定です。本当に休む理由も要(い)らず申請だけで貰(もら)えてしまい、もっと早く知ってたら有効利用出来たのに!!・・・と思います。やっぱり雇用主の方から「有給とれるんだよ」「とっていいんだよ」と言ってくれる方が気分はいいかも知れないですね。やはりこちらから言うのは少なからず勇気がいります。

(私の感想)
 たまたま知り合った女子高生クミちゃんなんですが、あれやあれやと一人で解決してしまい、私の出る幕はまったくありませんでした。

 ナンテコッタイ!

 しかし、日々、悲惨な労働相談を垣間見ている私の心のなかに、ある一筋の光が差し込んできた気がしました。

 でもでも、クミちゃんは、まるでスポーツ感覚で立ち上がって、実際に有給休暇を取ってしまっちゃたんですよね~。
 これって、やっぱ、すごいことですよ。
 
 長々と書いてしまいました。読んでくれた人、ありがとうござます。

追伸) 霞が関の非常勤職員のみなさんへ。私は、みなさんの力になれないかもしれないけれど、負けないでください。労働基準法や労働組合法が適用されない非常勤職員のみなさんは、本当に不当だと思います。だけど、門を叩き続ければ、その門は、いくら厚く固くても、壊れると信じたいです。

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コメント

jrさん。とてもいい話を読み勇気付けられました。労働者の当たり前の権利を当たり前にとることができる、そんな社会をめざしてがんばりましょう。

投稿: yi | 2006/08/18 午前 01時13分

いい記事です。
高校生の親として、若者のストレートな行動に共感しました。
Jrさんの記事も楽しいですね。

投稿: ikeyas | 2006/08/18 午前 09時28分

yiさん、ikeyasさん こんにちは。

クミちゃんだけでなく、私が会ってきた、又、自身が高校生の時バイトしていた経験から、高校生という立場で、真剣に働く労働者であるのに、低賃金(私が講演で会った高校生の一番高い時給で870円=フォークリフト免許を使った出荷業務・社保なし 一番低かったのはコンビニ・2年間働いていて650円)と権利を知らされていない事、その意識もまだ未成熟故に雇用者に利用され(レジ業務に携わる子で、過不足金が出たと3万請求され、バイト料から引かれたとの事例も聞いた)一番弱い立場故にどうすることも出来ないフラストレーションを溜めているそんな10代の真剣に生きる姿は本当に切実です。

世間で言われる「若者の飽き性、真剣味がない、堕落している」といった論議がいかに強者のつくる強者(無勉強な大人)の利益の為の恣意的な幻覚であるのかが感じられるのではと思います。 

高校生がバイト先で自身の権利の行使をするということは(本当はその子が声を上げるまでもなく、大人達が教え、守っていることが常態化しなければ、高校生アルバイトとしての社会勉強にならないと思うのですが)本当にショックですね。

yiさんもikeyasさんも年齢が高いように思います。
自分達が何が出来るのか、一緒にがんばりましょう!

投稿: jr | 2006/08/18 午前 10時17分

声を上げることの大切さとすばらしさを、ジ-ンと感じています。

投稿: kenn | 2006/09/20 午後 12時24分

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