非常勤職員の労働条件をめぐっての人事院・総務省交渉報告
みなさん、こんばんは。
先週末、気象庁(東京・大手町)が業務請負契約をしているA社に中央労働基準監督署が指導に入り、A社に対し1.労働者の有給休暇申請(2日2万円分)を認めなかった件、2.職場に就業規則を置いていなかった件、3.昨年度の雇用契約書を交付していなかった件について是正を求めました。A社は、1と2について即刻直すと約束し、3についても精査すると回答した模様。国公一般の組合員の勇気ある告発が、ルールある職場に変えていく第一歩となっています。
さて、「国公いっぱん」ニュース速報を枕にして、先々週に行った人事院・総務省との交渉報告を(遅まきながら)行いますね。
国公労連と国公一般は6月23日、国公職場で働く非常勤職員の労働条件をめぐって人事院職員福祉局と総務省人事恩給局と団体交渉を行いました。交渉に先立って2万筆にのぼった「非常勤職員の労働条件の改善を求める」署名を提出しました(写真、手前の白い束)。
交渉では、国土交通省で働く女性非常勤職員が参加し、「年次有給休暇10日分は、余暇ではなく風邪や重い生理のときに使っている始末です。無給の病気休暇を有休にしてほしい」と切々と訴えました。
さらに「正職員と同じように夏季休暇を与えよ」(全国の国立病院で働く労働者で構成する全医労)「ハローワーク相談員は、事務的補助をこえて、公務の専門性を発揮している。正職員との均等待遇を一刻も早く」(全労働省労働組合)など要求が次々と出されました。
旧厚生省の職員でつくる組合・全厚生は「ある研究所では非常勤が半数以上になっている。専門知識と専門用語を駆使して働いており、短期の雇い止めはやめるべきだ」「年金の支払い業務の非常勤職員は、正職員に代わって入力業務を行っており、覚えるのだけでも大変な時間がかかる。3年雇い止めは撤廃するべきだ」と当局に迫りました。
国公一般は「半年近づくと雇用中断日を置いて丸2年間1日も有休を取らせない最低最悪の省庁があった。さらに要件を満たしているのに社会保険・雇用保険に加入していない。こういう脱法・違法は絶対に許せない。民間では労基法違反で処罰されるレベルだ」と怒りをこめて訴えました。
国公労連の山本調査部長は「人事院は『適切な制度がある』と主張するが、しっかり実態を把握するべきではないか」「総務省は『各省の運用は適正に行われている』と言うが、実態は、各省の取り扱いがまちまちで非常勤職員は苦労している。使用者としての政府は責任を持って必要な対策を打つべきだ」とのべました。
人事院は「非常勤職員の均等待遇という問題では、特に休暇を常勤並みにとの声を担当部局に伝えたい」とのべ、総務省は「非常勤問題はなかなか難しい。本日の意見をまずは参考にして考えていきたい」と回答しました。
ほかにも「国の非常勤職員は、日々雇用で年度をこえて雇えないのが建前。任用中断日をおいての雇用更新を続け20年以上働いている職員がいるが、毎年、雀の涙ほどの退職金しか出ず、それも自己都合退職扱いとなる。これは、働く者のプライドをズタズタにするものだ」「正規職員と同じように非常勤職員にも夏季休暇を与えるべきだ」(全医労)、「忌引き休暇が取れなかったという声がある。しっかり制度を周知してほしい」(全労働)、「常勤職員と変わらない仕事をしている、健康診断などの予算を確保してほしい」(旧建設省の職員でつくる組合・全建労)、「短期間で、これだけの署名が集まった、このことをしっかり認識してほしい」(同・全港建)、「厚生労働省本省では、この4月から1-7号俸まで、ボーナス・退職金なしとなった。1カ月13万円でどうやって都内一人暮らしできるというのか。しっかりした処遇を確保するべきだ」など、職場実態をリアルに訴えることができました。
国公労連の山本調査部長は、「非常勤職員の労働条件課題は、制度と運用という両面がある。総務省は運用の有り様をしっかり見ていただきたい。各省庁の間の温度差、そういうものが存在するとき、総務省は使用者としての責任と指導性を発揮してほしい。法の谷間で、さまざまな処遇に置かれている非常勤職員の実態を把握してほしい。『難しい』などと言わずに、ちゃんと調べてほしい。その上で、政府としての使用者責任を果たすべきだ。非常勤職員が正規職員並みに働いている現在、改善なしに通れない問題だ。『難しい』の一言では、決して終わらせない」と強く申し述べて2つの交渉を終えました。
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コメント
こんにちは。私は霞ヶ関で働く臨時事務補助員です。
大学を卒業してこの4月から臨時になりました。
就職活動がうまくいかずにやむをえずのことでした。
霞ヶ関駅でビラを受け取り、職場の前で街頭宣伝を聞いて貴組合を知りました。
労働条件が採用前に明示されないことに疑問を感じながら毎日勤務していました。
私だけがそのようなことを疑問に思っているのかと考えていましたが、そうではなく自分と同じように考えている人や異議を唱えている人がいることが分かりました。
民間企業に勤めていない私には分かりませんが、政府系機関ではいい加減なことが平気でまかり通ります。
7月から労働時間が変更になることが4月の採用時点である程度予想されていたにも関わらず省庁側は私に知らせてきませんでした。ある正規職員の方から「アルバイト(臨時)に一方的な勤務時間変更を言い渡すのは労働基準法に違反しているのでは」という声がありましたが巨大組織の中ではその声もかき消されてしまっているのが実状です。
今回の勤務時間変更で出勤時間が45分~1時間早まりましたが、皆、特に仕事をするわけでもなくただ早く出勤するだけという状態で、しゃべって時間つぶししていたりして職場の仕事のモチベーションは下がっていると感じます。
私の職場では省エネなどと言って昼の12時に室内の照明を落とす規則が実行され始めました。本当に省エネと言うならば勤務時間を早めることを廃止して、従来通りの勤務時間のままでよいのではないかと考えます。仕事もしないのに朝早くから出勤だけして全く仕事がまわっていません。
私も一人で暮らしています。最低限でも生活を保障するために月給制にするという意見が紹介されていましたが私もそれに賛成です。祝祭日が多い月には生活がしていけないと思います。月に12、3万円で都会で暮らすのは無理があります。月曜日から金曜日まで正規職員と同じように時間的な拘束を受けています。そう簡単に休みたいと言い出せる状況ではありません。政府系機関が率先して生存権や人権をも脅かすような労働条件下で人を雇い入れるのは問題だと思います。
投稿: すぐに非常勤 | 2006/07/10 午後 10時00分
どうも、国公一般担当者です。切実なコメント、ありがとうございました。
いま、昔なら考えられないことが起きています。立場の弱い非常勤職員が、組合とタッグを組んで当局(人事院や総務省)に「物申す」ところまで来たのですから。僕のメールボックスには、全国の非常勤職員から生の声が寄せられています。組合加入の申し込みもあります。
いまの霞が関は完全におかしくなってしまい、自己制御ができないところまで来ました。この矛盾を大きく広げて、制度改善へとつなげましょう。
どこまでやれるかわかりませんが、「すぐに非常勤」さんのような声をたくさん集めて、僕は世論化して「たたかう」先頭に立ちます。今後ともよろしくお願いしますね。
あなたと連絡を取りたいので、ぜひ、メールを寄せてください。嫌なら無理にとは言いません(笑)。
投稿: すぐに非常勤さんへ | 2006/07/10 午後 11時07分