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2006/07/04

年金保険料の不正免除事件はどうしておきたのか?

 昨年、朝日新聞は、社会保険庁長官の村瀬清司(58)を鳴り物入りの扱いで報じた(7月30日付「be」)。一面に大きな写真を入れてインタビュー記事を二面に流す、例の「フロントランナー」欄だ(笑)。民間保険会社の副社長から転身した村瀬を「改革者」として描くこの記事を読んだとき、嫌~な気持ちがしたのを覚えていて、僕は、捨てずに大雪山となった机の上の書類に紛れさせていた。
 年金保険料の不正免除事件が起きて、いま改めて記事を読むと、興味深い個所がいたるところにある。

 「『事務所間の競争をあおらない、ノルマの設定や締め付けを行わない』など約100もあった労働組合との覚書はすべて破棄した。事務所ごとに収納の目標値を設定し、『国民の信頼を回復するには、きちっとした結果を出すことだ』とゲキを飛ばす」

 ……ということは、社会保険事務所の職場は、ノルマによって締め付けられ、職員がきゅうきゅうとしていたいう一連の報道は間違いのないことだろう。僕の知っているだけでもメンタルの病に倒れた職員、自殺した職員の悲しい報告が寄せられている。村瀬の発想の貧困は、民間企業である損保ジャパンのやり方が行政サービスという「官」にも通じると過信したことだ。

 記者が聞く、「国民年金の空洞化を食い止め、6割そこそこの保険料納付率を07年度までに8割に上げる目標、達成できますか」と。そりゃ聞くわな、そのためだけに財界から「官」に送り込まれたんだから(笑)。

 村瀬は得意気に語っている。
「冷静に考えればきつい。納付率が8割に近い団塊世代が60歳を過ぎ、代わって入ってくる20歳は5割程度しか納めてくれない。この差はボディーブローのように効いてくる。ただ、市町村から未納者の所得情報がもらえるようになったので、これを有効活用すれば相当なことはできる

「今や、社会保険庁の中で最も実務に通じているのは、僕ですよ」

 村瀬の強烈な自負とともに語られる、「相当なこと」が、他ならぬ保険料の不正免除だったわけだ。不正とは、実務に最も通じたところが起きる、これは鉄則だ(笑)。上司からの命令で、職員たちは我先にと未納者の所得情報をあらかじめ入手し、電話をかけまくったに違いないのだ。
 頼みの綱であった労働組合・自治労は、早々に「(不正は)ノルマのせいではない」と白旗をあげた。マスコミも村瀬を辞任に追い込むキャンペーンを張らない。社会保険事務所の職員たちは、まるで勝手に不正に手を染めたというような流れに追い込まれている。

 このブログを書いているとき、共同通信が以下のような記事を配信してきた。

 「本庁が不正手法を紹介」 大垣社会保険事務所
 国民年金保険料の不正免除が判明した岐阜県の大垣社会保険事務所(同県大垣市)が、「不正の手法について、事前に社会保険庁から具体例を紹介された」との内容の報告書を作成し、岐阜社会保険事務局に提出していたことが5日、分かった。報告書には、違法と知りながら不正行為をした理由に関し「他県でも実施、検討しているため」などと記したという。
 社保庁はこれまで、法令に定められた手続きに違反してでも免除などを進めることを求めたことはなく、不正な手続きの事例を地方に示したこともないとしてきた。しかし、こうした報告書がまとめられたことを受け、厚生労働省に設置された第三者による検証委員会が、本庁の関与の有無について調査する。

 この記事が本当なら、この不正事件をスクープした朝日新聞は、かつて掲載した「be」のなかに不正につながる村瀬の手法をそのまま掲載していたことになる(笑)。労働組合に白旗をあげさせ、ノルマ禁止の覚書を破棄させる。そうして村瀬は、中央から号令一下、各県を競わせるように不正の指示をおろしていたのだ。

 いまこそ、職員の立場に立った労働組合が求められている。
 組合のたたかいと自浄作用がなければ、真相は見えてこない。

 んで、マスコミのみなさん、告知です(笑)。

 シンポジウム 社会保障・年金制度の今を考える
      ――保険料免除問題はなぜおきたのか

 日時 7月25日(火)午後4時~
 場所 東京・星陵会館
 主催 国公労連、厚生共闘(全厚生、全医労)

 シンポジスト 小越洋之助さん(國學院大学教授)
          唐鎌直義さん(専修大学教授)
          飯塚 勇さん(全厚生副委員長)

 コーディネーター
          小田川義和さん(国公労連書記長)

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受信: 2006/07/07 午後 02時42分

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