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2006/06/09

絶対に辞めちゃ駄目!!

 今週は、2件の民間企業と1件の外郭団体(天下り先)との団体交渉があり、極めてタイトな一週間だった。机をバンバン叩いて相手の違法を追及したエキサイト型団交もあれば、穏和に法論理のやりとりで解決に導くマイルドなものもあった。しかし、どちらにせよ、国公一般の、たった一人の組合員を裏切らない、絶対に守るという至上命題を貫くという姿勢は変わらない。

 午後、団交から帰ると、今年3月まで厚生労働省の外郭団体(天下り先)を退職したという女性から電話での労働相談があった。
 実は、この女性、昨年10月にも、職場で起きている不正やいじめ、さまざまなトラブルを一身に背負って困り果て、国公一般の労働相談に電話をかけてきた人で、僕は、「いろいろ電話で言ってもわかりませんから、とにかく当局の文書、給与明細、労働条件通知書など一切合切(いっさいがっさい)持って、直接、事務所に来てください。絶対に辞めてはいけません。踏ん張ってください」と言い、日程と時間まで決めた人だった。
 ただ、「匿名でお願いしたい」と言っていたので、嫌な感じがしたのだが、結局、彼女はその日の労働相談には姿を見せなかった。

 今日寄こした電話を聞く限り、彼女の要求は、1.とうとう退職に追い込まれ、退職金も自己都合退職のためと(正規職員なのに)非常勤職員規定に合わせられ減額された、2.社団法人の不正の資料は整っている、なんとか明らかにして当局にぎゃふんと言わせたい、3.慰謝料・謝罪その他を支払わせたい、4.退職したら職がなくなってしまった、どうすればいいのか、などなどだった。
 社団法人を辞めて3カ月、ハローワークに通う日々のなかで、職場での悲しみや怒りが沸々とわいてきて、「なんとか組合が助けてくれないか」と訴えるのだった。

 ああ、いいですよ、と言うのは簡単だ。
 なるほど、彼女の持っている不正の数々を記録した資料を追及の武器にして、厚労省の天下り先に突きつければ、最終盤国会を迎えた小泉茶番内閣の左足の小指の先ぐらいにチクッて一矢報いることができるかもしれないな、とは思う。もしかしたら、いくらかの解決金が支払われるかもしれない。

 しかし、僕は、「組合にやれることはありません。弁護士を雇って、たたかってください」と言った。それも冷たく。

 労働組合の存在意義は、苦しくても会社を辞めない労働者を守ることにあるし(不当に解雇された労働者を守るためにあるし)、その職場で仲間たちが働き続けるからこそ、労働条件や制度の改善を第一の要求に掲げて団体交渉を打って当局を追及していく。金銭解決という結末を迎えることが多いけれど、僕たち国公一般の第一の要求は、多くの労働者を縛っている制度を改善することにある。

 彼女は、「匿名」で電話をかけてきて、労働相談の日時まで決めたのに現れなかった。
 さらに、3月にみずから退職届を書いて、退職金まで受け取っていた。
 3カ月が経って、もとの職場での悲しみや怒りが収まらず、組合に泣きついてきた。

 女性の地位向上のため、ほぼ半世紀にわたって女性差別裁判に関わってきた弁護士・坂本福子さんは、「権利は眠れる者を保護しない」と言うのが口癖だが、労働組合もまた、「たたかわない者はサポートしない」。
 
 誰かがやってくれる、組合がやってくれる、ではなく、あなたがやるから組合がサポートするのだ。

 いま苦しんでいる国公職場で働く仲間のみなさん、何があっても辞めては駄目!!
 どんなに肩叩きにあっても、絶対に辞めちゃ駄目、まずは労働組合に電話を下さい。

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