公務派遣の深い闇 その3
昨日の夜は、学生時代にいろいろお世話になった先輩弁護士と食事をしたのだけれど、本格的な四川料理(中華)だった。36年間生きてきて、僕、初めて金木犀(キンモクセイ)の香りのするお酒(ソーダ割)っての飲んだのだけれど(名前は忘れました)、めちゃくちゃ美味いっすね、あれ……。
中国のお酒って言えば紹興酒しかしらなかったのですが(笑)、みなさん、金木犀のお酒のソーダ割はおすすめです。その他、麻婆豆腐も水餃子も棒々鶏も杏仁豆腐も、これまで食べてきた赤カウンターの中華料理屋のオヤジさんが作るものとはまったく別物の味だったので驚いた。先輩は、「中国ってのは、奥が深いよな~。日本の保守ナショナリストが文句を言っても、中国4000年の歴史と人海戦術の前に日本は負けますよ~」などとブツブツ言っておりました(笑)。
さて、そんなことより、問題は、公務における派遣労働のガイドライン(指針)が必要だということなんですよ。
前2回の記事で言いたかったことは、1.労働条件の劣悪な非常勤職員の定員割れによって、いよいよ霞が関のフロアで派遣職員が働き始めたということ、2.そもそも派遣労働という働き方には、いろいろな問題があるということ。とりわけ、派遣会社が決めた業務内容と霞が関での実際の仕事内容が違っているということ。派遣会社は、「5号、8号業務」と書けば、事務作業一般をさせてもいいと考えているふしがあり、派遣先である省庁の責任者も「それでいい」と漫然と思っている可能性があること。他にも国家公務員が民間労基法適用の労働者を指導・監督していいのかっていう大問題なども残っている。
この前、霞が関で実際に働いている派遣職員から話を聞いたのだけれど、霞が関の省庁の国家公務員の責任者は「派遣先台帳」をつくっていないかもしれないって言ってたな。いくら苦情を言っても何にも改善してくれなくて、逆に、責任者である国家公務員の上司から「なにかあってもあなたの雇用は守れませんから。だって、あなた、派遣だから」なんて冷たく言われたって……。そんなの、責任者でも何でもないじゃん(笑)。
このブログを読んでくれている厚生労働省の職員から国公一般にメールが来て、こんなことが書かれていた。
「派遣労働の現実があまりにも先へ先へと進んでいて、法律がそれに追いついていないのが実態ではないでしょうか。厚労省のホームページに『Q&Aいわゆる「複合業務」における派遣受入期間の制限等について』というのがありますが、これも遅きに失したとはいえ、政令26業務に付随する細々した仕事をどのように理解すればいいのかを、なんとか国がガイドラインとして示したものなんですから」
本当は書きたくなかったのだけれど、いま国公一般が抱えている個別労使紛争の事案で、ある公務職場で働く派遣職員の組合員が、こんなことを言っているのだ。一言で言って、公務職場において国家公務員の不正に荷担させられたらどうすればいいのか、あるいは国家公務員の違法な行為を見た場合、派遣職員はどんな対応をすればいいのか、という大問題なのだ。
彼女の派遣会社の資料をあらかた読んでみても、「公務職場における不正にかかわってしまった場合」なんていうガイドラインというかシミュレーションというか、そもそも、そういう問題意識の欠片もないことがわかる。
しかし、専門エキスパート労働者としての派遣職員の組合員は、「国民の税金でまかなっている国家公務員が不正をしたり、違法なことをしているのを見逃すことは出来ませんよ」と言う。僕が、「派遣コーディネーターに相談してみたら?」とアドバイスしたら、「半年前から言っているですけれど、コーディネーターさんは、『派遣職員は、そういうの、見なかった聞かなかったという態度に徹して、そういうことは言わないの』って釘を刺されたの」と、とても寂しそうに答えるのだった。
さらに彼女は言う。
「公務職場で求められているのは、専門性と公正性と安定性なんです。ところが、派遣職員がころころと代わっていくのが実態だから、国民のための行政サービスがほとんど担保されない。さらに行政における守秘義務などもどれだけ守られるのか、とても心配です」
率直に言って、このままでいいのでしょうか。非常勤職員に代わって派遣社員を霞が関に投入することで、本当に国民のための公務サービスが維持できるのでしょうか。
僕は、とても心配です。
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