« こころのメンテナンス | トップページ | マスコミとの付き合い方 »

2006/04/17

都庁南棟34階

 ゴシック大聖堂のような(笑)東京都庁南棟34階には、都の労働委員会のフロアがある。本日午前、僕、行ってきました。
 当局や会社との団体交渉が行き詰まったときとか、第三者の冷静な判断が必要になったとき、われわれ労働組合は都の労働委員会のあっせんに事案をかけることになるもので。

 『広辞苑』を引いてみる。
 ろうどう-いいんかい【労働委員会】不当労働行為を審査し、また労働関係の紛争が当事者間で自主的に解決できない場合にその調整(斡旋・調停・仲裁)に当る機関。労働組合法により設けられ、使用者・労働者・公益をそれぞれ代表する委員で構成する。

 今日、労働委員会のあっせんにかけたのは、ある省の独立行政法人(天下り団体)で働く女性職員の強制配転をひとまず棚上げしてください、と申し立てた事案。これまで当局と団体交渉を重ねてきたが、相手が初めて団体交渉をするっていう余りのウブさと労働基準法や労働組合法に対する無知さが加わって、ほとんど顧問弁護士に丸投げしそのまま回答してきたものだから、現状にそった実のある話し合いができないのであった(笑)。

 今年3月、組合員の女性は、突然4月から業務変更、配置転換を通告された。彼女は持病を持っており、その業務はできないとの診断書を提出したが、当局はまったくそれを考慮しないときた(笑)。団体交渉が始まっているというのに辞令を強制的に発令しようとする。普通は、民間企業なら棚上げするもんですよ、普通は。
 われわれ組合側は、強制配転の理由に合理性がなく(業務縮小と言いながら、実は、ベテランの彼女が配置換えされたあと、その穴に別の職員が入るという算段になっていたし)、これは撤回させるという目的のもと当局と話し合ってきたのだが、相手は「親心で配転を考えた」とか「配転先でも持病を悪化させずにできる業務がある」などと言い訳に終始し、配置転換にいたった合理的な説明を組合員にまったくしていないことがわかった。
 しかし、向こうにもプライドがあるので特別休暇を出して組合員を休ませ職場に出さないという手を使ってきたので、僕らは、本日のあっせんまで待ったというわけだ。

 しかし、都庁34階というのは(何度行っても)、高所恐怖症の僕には最悪な場所なのでした……(泣)。
 女性組合員から「いい景色ですね~」と言われても、僕は膝(ひざ)が震えて答えられない。だって歩道橋ですら下を見ずに真ん中をゆっくりとしか歩けない僕としては、大小のビルが重力に逆らってニョキニョキ、雲と地平線のあわいまで続き、遠く霞がかかっている、小さな鳥が悠然と飛んでいる。今回は、トイレから出てすぐの一面ガラスからそのまま真下が覗けて、そのまま腰を抜かしそうになったほどなのだ。

 そんなとき、ベテラン組合役員がやってきて、ぶるぶるしている僕に「会社側は、個人攻撃に持っていくのが常。われわれは彼女を守ることが第一。この強制配転を許せば、彼女の持病は悪化し、退職に追い込まれるかもしれない。配転にも理由が必要なんだ。そして、解雇という最悪なメダルの裏側なんだ」と真面目なことをささやく(笑)。
 瞬時に気が引き締まる(情けなっ)。
 そうして二人のあっせん委員が部屋のなかに入ってきた。

 組合のオルグとして絶対に負けられないたたかいのゴングが、耳の後ろでカーンと鳴った。

|

« こころのメンテナンス | トップページ | マスコミとの付き合い方 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 都庁南棟34階:

« こころのメンテナンス | トップページ | マスコミとの付き合い方 »