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2006/03/03

霞が関から数百人の非常勤職員が去る日 2

 この春、霞が関の職場を泣く泣く去る非常勤職員が、僕に告白した言葉は、実は、いま日本社会が直面している危機と重なる大きな問題だと考えている。改めて書き写して検討してみる。

 「上司から提案された賃金では、東京都内で一人暮らしをしながら霞が関で働くことが出来ませんよ。一瞬、どういうこと?ってパニクっちゃった」
「だって、税金その他、天引きされた手取りが15万円を切るようでは、生きていけないもの。(いわゆる日給月給制なので)もしかしたら生活保護費より低い月があるかもしれない」
 
 これ↓は、彼女が見せてくれたある月の俸給明細なんだけど。
 
 俸給支給額17万7600円 +住宅手当2万7000円=総額20万4600円。
 そのうち、天引きされるのは、短期掛け金 9020円、長期掛け金 14938円、所得税 4790円、住民税 3×00円 、その他 1449円で、手取りは17万円とちょっと。

 僕が「これぐらいなら、何とかやっていけるんじゃない?」と無責任丸出しで言うと、彼女は「来年度予算では、この住宅手当がなくなるらしいんですよ。それからボーナスも!」と、僕の知らなかったことを教えてくれた。
「そっか、この2万7000円が削られたら、痛いよね」
「そうなんですよ。民主党の議員が手当を削れとか何とか国会で質問したらしいんです
「何て言う議員か知ってる?」
「……わかりません。あくまで聞いた噂ですから。だけど、予算を切り縮めるという意味では、自民党より細かくネチネチやる政党ですから(笑)」
「ちょっと調べてみるよ」

 これまで支給されていた手当が全廃されると、彼女の手取りは確かに15万円を切ることになるし、祝日が重なる5月など10万円ちょっと、さらにインフルエンザなんかにかかって何日か病欠したら……、まさに就労できない人たちに最低限度の生活を保障する生活保護費を割り込む有り様となる。
 
 いま日本社会全体が直面している危機というのは、自立できない若者の増加、さらには出生率の低下などだと言われている。自立はしているけれど、結婚していない僕にとっては大きなお世話である少子化問題は脇に置いておくとしても、国のおひざもとである霞が関でフルタイムで働く非常勤職員が都内で自活できない現実を確認するとき、やっぱ、暗澹(あんたん)たる思いに駆られる。
 その場にいた別の非常勤職員は、「今回の労働条件の大幅カットで、ほとんど自宅通勤者だけが残るんじゃないですか。あと、夫がいて副業アルバイトの感覚で働いている方とか」と言う。
 前出の彼女は、さらに付け加えた。
「わたし、上司に言ったんですよ、『わたしの後に採用する人って、どんな労働条件なんですか?』って。そうしたら、その上司は『交通費や諸手当すべて込みで15万円にする』だって……。わたし、生意気かもしれなかったけれど、『それじゃ誰も来ませんよ』って言い返したら、何て言ったと思います? 『どんな条件だって応募してくる、生活に困っている子はいるんだよ、ハハハ』だって!! それ聞いて、霞が関ってサイアク~ッて思いました」
「わたしが辞めた後、わたしが残した仕事は、同僚だった事務補佐(注・非常勤職員の別名)たちが新たに抱えることになっちゃう。いま、霞が関では、正規の国家公務員だけでなく非常勤職員までサービス残業を強いられているのが現実だから、ホントに申し訳なくて、歓送会の時、泣けてきちゃった」

 そもそも非常勤職員制度とは何なのか、このあたりで再検討してみる必要があると思った。

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