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2005/12/13

ある青年の叫び

 この前、ホームページの方に「若者に仕事を 全国青年雇用集会」のパレード写真を載せておいたのだけれど、その集会で勇気を持って発言した青年の原稿を入手したので、このブログに書き写してみる。派遣とか請負とかいう働き方がマスコミでもてはやされているけれど、実態はどうなのか?
 この青年の訴えを読むと、霞が関で任期付きで働かされている事務補佐員(非常勤職員)のことを考えてしまう。官民の働く者が、手を携えて情報交換し、励まし合うことが大切だと思った。

(発言、ここから)
 私は、徳島から来ました矢部です。いわゆる「偽装請負社員」です。
 2000年に入社して5年が過ぎました。仕事に興味をもち、一生懸命仕事をしました。正社員より仕事ができなければ解雇されるという思いもありました。試用期間が2週間で、その間に係長や班長が「使い物にならない」と判断すると、解雇されました。
 賃金は入社した時から時給1100円でまったく変わらず、退職金などの将来保証もありません。しかし、仕事だけは年々きつくなって、このままでは将来展望もない。なんとかしなければならないと思いました。
 2004年5月末に派遣企業である光洋シーリングテクノの総務部に「私たちの扱いが派遣労働者なのか、請負労働者なのか、はっきりさせてほしい、法律を守ってほしい」と、労働条件の改善をはかるように求めました。派遣元であるダイテックは「客先である派遣先企業と直接話をするな」と、解雇をにおわせてまで止めるありさまで話になりません。
 その後、徳島労働局にも出向きましたが、労基署・ハローワークをたらい回さしさせられただけで、なんの解決も示してくれませんでした
 同僚たちと組合づくりの相談をし、JMIU(全日本金属情報機器労働組合)に加入することを決めました。
JMIUには一人でも入れるし、加入するだけでただちに団体交渉できる。しかし、労働組合は多数の方が良いので、職場に呼びかけてみんなでたたかおう」と言われ、呼びかけたところ、20数人(現在31人)、平均年齢26歳となる青年で構成することになりました。
 2005年1月には6人が解雇される事件も起きましたが、組合の交渉で即日撤回させました。未払いの皆勤手当を支払わせ、前借金の手数料も払い戻しさせました。作業服や靴の無料支給など多くの要求が前進しました。春闘では、わずかですが賃上げも勝ち取りました。
 現在、派遣先企業に直接雇用するように求めて、たたかいを始めたところです。JMIUの組合の仲間と一団結して最後までがんばりたいと思います。
(発言、ここまで)

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2005/12/12

映画が教える民営化の悲劇

 いま、午後10時、……さあ、これからが仕事ですよ、霞が関的には(笑)。

 昨日の日曜日、午前中の仕事を終えた後、東京・飯田橋にある東京おしごとセンターで、イギリスの社会派監督ケン・ローチの映画『ナビゲーター』を観る。ケン・ローチと言えば、僕的には『ブレッド&ローズ』が一番なんですが、いずれにしても彼は、イギリスやアメリカの労働者たちの日常生活や労働組合活動の現在をリアリズムの手法で描く珍しい監督で、ほとんど日本ではレンタルできない監督の一人でもある。

 映画『ナビゲーター(線路工)』は、イギリスの国有鉄道が分割民営化されたあとの、線路補修労働者たちの悲劇を描いた作品で、言い換えると、鉄道交通という公共性の高い分野を民間企業に切り売りすることで起きた矛盾……、あるいは、利潤追求という民間的手法で限界ギリギリまで効率を高めようと労働者を酷使すると、どんな惨事が待っているのかを生々しく教えてくれる作品になっていた。
 民間企業が線路補修事業に乗り出すことで、これまで8人でやっていた枕木を移動する仕事がたった6人で、それも補修免許を持っていない労働者をも駆り出して進めることになる。「見張り役がいないと危ない」と抗議をする労働者は、派遣先に通報されて次の仕事を失う。失業した労働者たちは、どんな仕事でもやると言い、最終的には、怪しい派遣元に雇用されて、脱法的な線路補修業に精を出すことになる。
 激しい雨のなか、夜通しの厳しい補修仕事を続ける労働者たち。順調に進んでいたと思ったのも束の間、列車が仲間の一人を無情にもはねとばしていく。ああ、見張り役がいなかったからだ!!
 しかし……、虫の息の仲間を前にして、あとの労働者たちは救急車も警察も呼ばない。脱法行為が見つかったら、自分たちの今後の仕事がなくなるからだ。
「車にはねられたということにしよう」
「俺たちは何も見ていなかったんだ」
 監督ケン・ローチは、いつものように簡単に希望を与えてくれない。まるで、あなたたち労働者自身で考え行動し、この先を切り開いていってくださいと言っているかのようだ。

 脚本は、イギリス国営鉄道の民営化に賛成した組合活動家のロブ・ドーバー。日本の国鉄労働組合のようにはたたかわなかった彼は、民営化後に実際に起きた事件をもとに脚本を書き上げたというから、自身の選択の間違いに対して深い反省を込めていたはずだ。
 僕が映画を観ながら思い出したのは、100人あまりの犠牲者を出したJR西の脱線事故だ。一足早い「官から民へ」の大合唱のなかで国鉄が分割民営化され、サービスが向上したとか車内がきれいになったとかいろいろ言われていたけれど、10数年が経ってみて、結果として、こんな大惨事を招いてしまった現実を見るとき、本当に責任を取るべきなのは誰なのかを問いたくなる。

 「日経」の記者たちは、あいもかわらず「官から民へ」というフレーズに何の疑問も持っていない(笑)。
 お前らが書き殴った記事で、タクシー業界の規制緩和がなされて以降、これまで何人のドライバーが自殺したか知っているのか? どれだけ事故が増えたのか知らないとは言わせない。
 今度、規制緩和に関しての大マスコミたちの書いた社説や記事を調べて明らかにするので、ご期待ください。

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2005/12/07

全労連が動きます

 日本の労働運動を担う大きな流れは、二つ。連合(日本労働組合総連合会、約670万人)と全労連(全国労働組合総連合、150万人)なんですが、国公一般は、全労連の流れの末端に位置しています。
 僕のイメージでいうと、連合の本質は「人間なんて所詮こんなもんなんだ」という感じで、人間の悪も腐敗も全部飲み込んで肯定し、そのまま運動していくという、まさにドストエフスキー型(笑)。だから、自治労や大阪市労連(連合)のように組合がウラ金をつくって闇専従を抱えて組合運動したり、民間大企業労組のように労組幹部への道が企業内出世の道とイコールだったりする。労働者のために何もやらないこともありうる労働運動の肯定だ。
 それに対して、全労連の本質は、「労働者は、負けても負けても立ち上がる。常にストイックにね」というような「復活」トルストイ型(笑)。どちらに連なるかという選択は、まさに世界観の問題だが、「連合強し」の背景には、人間とは何か? という大テーマが横たわっている。

 さて、今夜は、その全労連が鳴り物入りで立ち上げる『「小さな政府=大きな国民負担」に反対し、もうひとつの日本、安心できる公務・公共サービスをめざす闘争本部』の発足総会に参加しました。この長いタイトルには、小泉内閣の構造改革によって、いまほど国民が痛めつけられている時代はない、このままでいいわけがない!、われわれ労働者が広く団結して再び豊かな暮らしや職場を回復させる「もうひとつの日本」を造り替えることは可能なんだ、という熱い思いが込められている。
 たび重なる公務分野(交通、建設、病院や福祉施設など)での事故やニアミス……、こんなにも国民のあいだに不安や怒りが広がるなかで、たたかいの突破口は、まずは公共サービスの充実なのだ。
 闘争本部の発足は、ナショナルセンター(全単産)規模で取り組み、大きな国民的なムーブメントを起こそうと呼びかけるものだ。

 総会のなかで北海道の労働組合の方が発言したのだが、とても印象に残った。
「春闘討論集会のなかで、旧運輸省の職員でつくる全運輸の組合員が、『航空管制の無線の仕事が、外注化されようとしている。公務員リストラと規制緩和が行き過ぎると大事故になる』と発言した。JRの労働者は、『嘱託職員制度の導入で、日給5000円の運転士が出てくる。こんなに安く労働者を使って安全は大丈夫か?』と言う。タクシー・トラックの規制緩和で、ドライバーの過労死は増え、水揚げは半分に減った。向かってくる来る車は、みんな居眠りしているかもしれない。すでにマンションでは眠れない時代だ。わたしは、病院で働いているが、看護師たちは人員不足で連日連夜のニアミスを繰り返している」

 いま、小泉内閣が叫ぶ「小さな政府」論は、まぎれもなく「大きな国民負担」の幕開けだし、それは僕らの命を脅かすほどのものだ。国民生活の大切な公共部門を担う国家公務員の労働組合である国公一般の一員として、これから春闘に向けて頑張っていこうと思った。 

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2005/12/06

若者の雇用 この10年で何が

 この間、ずっと相談に乗ってきた霞が関の事務補佐員さんが職場を辞めると言う。12月からの労働条件が一気に悪化したことも辞める気持ちに拍車をかけたと思うけど、やはり、事務補佐員=非常勤職員を同じ働く職員と見ない霞が関の正規職員たちによる異常なパワハラやセクハラに我慢がならないというのが、一番大きな原因らしい。
 僕は、組合のオルグとして打開の方策を練ってきたが、いかんせん、霞が関中央省庁では事務補助員による当局交渉までつなげるまでには至らなかった。辞めていく彼女には、謝っても謝っても謝り足りないと自覚している。本当にごめんなさい。
 霞が関を辞めた後、彼女は、いったいどこで働くのだろうか。「今度は、正規職員になりたいナ」と言っていたけれど、よい就職先が見つかるといいんだけど……。

 ……で、お茶を濁(にご)すわけではないけれど、渡辺治一橋大教授とともに、そのアクロバティックな分析が魅力の後藤道夫教授が、こんなことを新聞でコメントしていたので、自分の勉強の一環として書き写しておく。

 若者雇用 この10年で何が
 1980年代まで、若者が働き始める際には「高卒就職=正規雇用」がごく普通でした。バブル経済の崩壊の後、進学率が上がりますが、90年代半ばからは若者の失業と非正規雇用が急増し、正規雇用で一生懸命働きたいと思っていても、どうにもならない状態がまん延しています。

 収入の格差
 親の側に経済的余力がある県や地域では、専門学校を含めて進学率が増えているはずです。進学する経済的余裕がない若者たちは、親に頼れる場合には、パート・アルバイトでしのいで家にいますが、そうでなければ、何でもいいから食える金額が取れるところに移らざるをえない。それで、最近は高卒・新卒の業務請負が出てきているのではないか。
 正規雇用、派遣労働者、パート・アルバイトという三つの雇用形態で、25~29歳男性のそれぞれの収入分布を就業構造基本調査で調べてみました。パート・アルバイトは年間100万~149万円がいちばん多い。派遣は200万~249万円が、正規は300万~399万円がいちばん多い。雇用形態によってきれいに分かれます。
 派遣を安定して繰り返してやっていると、東京の単身勤労者世帯の生活保護レベル(年間約250万円)にほぼ近づく。パート・アルバイトで過ごすことになると、収入はずっと下になる。生活保護の水準にはるかに及ばない。
 厚生労働省がいう「フリーター」は、派遣や契約などの雇用形態を除き、さらに正規雇用を探している失業者も省いた、とても狭い定義になっているんですが、250万人くらいになる。これはちょうど100万~150万円くらいのところを稼ぎながら暮らしている若者の人数に近いと思います
 派遣、製造業の請負、あるいは低処遇の正規雇用などで、年収250万円くらいのところを夫婦のそれぞれが安定して確保して、それに社会保障と社会的な支援が今より手厚く提供されるようになれば、ギリギリ暮らせないことはなかろうと思います。しかし、実際は、それらが非常に薄いので、子どもが生まれた途端に片一方の収入がなくなる危険性が高い。
 これでは、子どもをつくってという、昔のような家族をイメージすることをためらうでしょうね、男性の方も、女性の方も。

 壊れる生活
 医療の3割負担も家計に響くと思いますが、重い病気になった時の休業手当がないと、ただちに生活が崩れる。20代の世帯、単身者世帯も含めた無貯蓄率は36~37%くらいです。こういう状態ですと、ちょっとした故障や失業などが家計破たんの原因になる。
 働きながらも最低限度の生活が維持できない世帯=「ワーキング・プア」の広がりが社会問題になりつつあります。こうしたことに対して、日本は国民的な反抗が弱いのではないか。若者がきちんと暮らせるような賃金と労働条件、社会保障を確保せよ、という当たり前のことで声をあげていくことが非常に大事になっていると思います。

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2005/12/05

06春闘の議論が始まりました。

 いよいよ06春闘の議論が始まりました。
 わが国公労連本部も民間の組合も、全労連の会議などに参加して何を中心要求に置き、当局・使用者に対峙(たいじ)して、どのようにたたかうのか討論しています。

 上場企業の06年3月期決算では、3年連続で過去最高益を更新する見通しで、とりわけトヨタは3期連続で1兆円を越える最終利益となることが確実なんだってよ! 不景気とか何とか言ってもそれは、僕ら庶民の生活感覚で、この日本を牛耳っている財界・大企業は史上空前の好景気にあるんだよな。ホント、驚きだよ。
 僕みたいな素人感覚で考えると、財界・大企業の内部留保を含めた利益のなかの、ほんの少しでも労働者に還元してくれれば、すっげえ賃上げになると思うのだが、不思議と連合傘下の労働組合を中心にして賃上げベア要求すら掲げないという異常な春闘が続いている。親組合がベアを求めないので、トヨタ傘下の二次請け三次請けの企業の組合もまた賃上げを求めない……、こうして「悪魔の賃下げサイクル」が生まれることになる。
 罪だね~、トヨタ労組(笑)。

 国公労連はどうするのか?
 当然、賃上げ要求は出しますが、いま熱い議論になっているのは、民間労働者(非正規や派遣・請負労働者の年収は300万円を切りました……)がホントに酷い状況に置かれているときに、官公労が自分たち正規職員の賃金ことばかり考えて春闘を迎えていいのか? ということなのだ。
 マンションの耐震強度の偽造事件にせよ、タクシー業界の規制緩和の失敗にせよ、多かれ少なかれ、国の公的責任が民間へと安易に切り売りされた結果なのであって、「痛み」だけを強いる小泉構造改革に反対するという大きな構えのなかで、僕ら国家公務員の組合は、民間労働者とガッチリ連帯して、最低賃金の底上げや公契約運動の前進、企業の社会的責任といった課題も掲げながら、国家公務員のリアルな生活や労働条件を広く訴えていく必要があるではないか? 
 そういう認識でこそ、国公職場で働く非常勤職員(事務補助員)の最低賃金を、せめて月額15万円(時給1000円、日給7500円)以上に引き上げること、年月数による「雇い止め」の廃止、休暇などは一刻も早く正規職員並みにし、夏季休暇・結婚休暇・介護休暇・看護休暇などの制度化をはかることなどの要求が出てくる。

 ……ゴホッ、ゴホッ。
 やばい! また風邪引きそうだ……(笑)。
 明日は、後藤道夫教授の非正規労働者論、フリーター論の話を書こう。

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2005/12/01

知らぬ間に、非常勤職員の日給が下がりました。

 今日、国土交通省を振り出しに厚生労働省、経済産業省、財務省などを回った。すると、この12月1日から霞が関で働く非常勤職員の日給が、今年の人事院勧告なみに下がったという情報を入手した。ある省では、交通費、ボーナスそのものがカットされたというから、驚きだ。

 霞が関には、労働基準法や労働組合法など労働法がまったく通用しない、このことを痛感させられる。

 そもそも非常勤職員の給与は、正職員の給与と比較し、予算の範囲で決められることが建前(給与法22条)になっていて、民間企業で働く非正規職員の給与調査にもとづいて決められているわけではない。だから、正職員の給与に対する人事院勧告の賃下げ率が、そのまま非常勤職員の給与にリフレクション(反映)するのは、まったく筋が通らない。
 こういう霞が関の勝手し放題が、民間企業の勝手し放題とリンクしている可能性があるのだ。民間賃金が下がり、公務賃金が下がり、さらに民間賃金が下がるという……、「悪魔の賃下げサイクル」。

 多くの非常勤職員さんが、こういう霞が関に見切りをつけて、どんどん辞めている。
 
 なんとかしたい……、僕は、本当にこういう状況を変えていきたいのだ。

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