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2005/11/28

若い人を組合に迎えるために

 大学同期の弁護士と話をしたのだが、話題はどうしたって組合の組織化(いかにして組合員になってもらうかということ)についてだった(笑)。彼は、企業の顧問弁護士とか渉外弁護士などならずに、金にならない労働問題を中心に請け負っている労働弁護団の一員で、その点、僕はとても尊敬している。
「もう12月だな」
「この一年間で一番印象に残った労働事件は、『明日から出社しないでいい』と突然解雇された、ある青年労働者の解雇予告手当と未払い残業代を請求した事件だったよ。一年間かかったけど、勝利和解して約40万円を支払わせた。初めは、訴額30万円という少額だったため、青年が相談した弁護士の誰も手を付けなかった」
「へー」
「青年は、たった一人で会社に掛けあい、渋る会社とたたかっていた。本当に困難を極めて困っていたんだ。弁護士のオレがやった方が早いと思って引き受け、とうとう会社を訴えたんだ」
 裁判では、裁判官自身が「解雇予告手当とは何ですか?」と弁護士に訊くなど、労働法の無知が暴露されるものとなり、それを一つひとつ優しく説明するところから始まったという。
「……労働者の実態を事実で訴えること。一年間の弁護料が、たった7万円だったけれど、自分の弁護士人生のなかで一大事件となるものだったよ。原告の青年労働者が職場前でニュースを配り始めてね、組合員が増えていったんだ。労働組合が、もっとメールニュースやミニコミなどを作って大きくアプローチすればもっと広がったはずだよ」
 弁護士の彼は、いまの若者は人間関係をつくることが下手な世代だと言い、労働組合に加入するハードルについて、こんなことも言った。とても面白い指摘だったのでメモしておいた。

①そもそも若者にとって、組合を知る機会がない。組合の運動が、ほとんど見えない。
②組合と遭遇しても、組合がやっている運動というものが理解できない。
 ア、組合が指摘する問題の背景と方向性がわからない
 イ、組合のビラを読んでも何を言っているのかわからない
   自分たちが何者なのかを簡潔に説明し、組合の主張の切り口を単純化してほしい
③それでも、納得するまでに時間がかかる(笑)。それは、カルチャーショックに似ている(笑)。
④組合の主張が理解できても、自分にとって必然性があるかどうか。
 ア、個々人の要求を引き出して、組合側の主張や方向性と噛み合わせる必要があるだろう
⑤必然性があるとしても、若者は、さらにリスクと比較する。
 ア、組合の意義はわかったが、組合に入ったら差別を受けるんじゃないかとか……どうやったらマイナス因子を除けるのかを考えてほしい

 以上のようなことを考慮に入れずに組合活動をすると、右翼とか過激な政治団体と変わらないような印象で理解されてしまう。

 さらに弁護士は、「どうすればいいんだよ」と問いつめる僕に言う。
 「組合への組織化の秘訣はな……」

①組織する労働者の雇用形態は問わないこと
②組合は、要求実現に向けて誠実にたたかうこと。そして、勝っていくこと――要求実現していくことが絶対に不可欠
③若い人と同世代の専従オルグ(相談に乗る人)が必要だということ 
④組合こそが労働者の悩みを共有できるということに確信をもってほしい(当たり前の権利が阻害される現実を前にすると、組合の空気感がいかに普通かということがわかるはず)
⑤体験型アプローチが必要だということ――相談者には、まず事務所に来てもらい、次に現場に出てもらう、組合員の仲間の団交に参加してもらうことが一番勉強になるはず、などなど。

 彼は、当番弁護士として刑事事件を抱えていることにも触れて、「20代の窃盗犯は、借金・アルバイト生活の繰り返しで、『どうなっても知らない』とうそぶく。オレの実感としては、この層こそが本当の現代青年ではないかと思っている」と言い、厳しい現実の深い深い闇を見せてくれた。

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