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2005/07/29

たたかいは、また来週へ

 この一週間は、想像を絶する忙しさだった(あ~、組合の会議ってなんでこんなに長いんだろな?)。
 組合の会議に加えて、今月初めの労働相談が争議に発展しそうだったけれど、団体交渉を強めることでなんとか勝利的な合意を結ぶことが出来た。組合員にとっては100%満足の要求実現に、オルグの僕も嬉(うれ)しかった(詳細は、後日、報告しますね)。ただ言えることは、国の外郭団体(天下り団体ともいう)の職場も無法がまかり通っているということだ。これは、無法な使用者には、法律に従ってもらわなければなりません。

 念のために言っておきますが、外郭団体職員は、「政府系の機関です」とか「準公務員並み」とか「政府○○省から仕事をもらっています」「就業規則が、任用など規程になっている」とか言っても公務員じゃないんです、労基法適用の民間労働者なんですね。が、そういう外郭団体の職員でも国公一般に入って団体交渉を行うことができますので。困っている友達に教えてあげてください。

 昨年、組合オルグになるとき、大先輩から真っ先に教えられたことは、オルグのやり方ではなくて、お酒の飲み方だった(笑)。「お酒が飲めなくては、相手の信頼は得られない」とまで言われて、僕は、とことん飲むときは飲むようになったわけですが、連チャンは大変です。一昨日の晩も昨晩も午前様の帰宅で、仮眠して霞が関の職場に出るわけで、本当に死にそうだった(大事な会議を一つ欠席してしまい、大目玉を食らいました…)。

 さて、明日は、作家の大江健三郎さん、井上ひさしさん、小田実さん、鶴見俊輔さん、三木元首相の妻・三木睦子さんらが憲法を守れと訴える「九条の会」有明1万人集会―憲法9条、いまこそ旬―に参加します。
 これまでずっと読んできた作家の生講演なんて初めてだからな、楽しみだな~。

 たたかいは、また来週へ。

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2005/07/26

人事院を4500人で包囲!

 台風接近ってんで、どうなるかと思った7.26中央行動だったが、蓋(ふた)を開けてみれば、全国各地と霞が関から4500人の公務労働者が人事院前に集結、ホームページの写真にあるように参加者は祝田通りの両側の歩道に収まり切れず、日比谷公園まで広がることになった。
 雨は断続的に降ったりやんだりしたが、宣伝カーの上から人事院に訴える国公労連役員、ブロック国公、現場で懸命に働いている職員たちの口からは「雨が降ろうと槍が降ろうとわれわれが退(ひ)くわけにはいかない!」との強い決意に満ちた言葉が放たれる。全国で巻き起こる公務員バッシングに押されるかたちで賃下げが強行される事態に対して、仲間たちは、事実と道理で反駁(はんばく)していく。

 8月初旬と言われている勧告に向け、人事院は、国家公務員給与の全体5%引き下げ、住んでいる地域によって給与に格差をつける「地域手当」、「実績」反映の査定昇給制度の導入をたくらんでいる。この間、国公労連との交渉で、人事院は「全体の公務員水準は官民均衡している」と認めながら、政府の圧力に屈してなんとしても公務員給与を引き下げようとしている。国公労連調査部によれば、このままでは、30代後半以上の職員では最大7%の賃下げ、地域間の最大格差は、なんと18%まで広がる事態となる。同一労働同一賃金の大原則が、国の職場から破られようとしている。
 ようやく民間春闘で2%賃上げが勝ち取られ、景気が整い始めている経済状況で、人事院がやろうとしていることは、果たして国家公務員の労働基本権の代償機関に値するものだろうか?

 いつもは集会などでその姿を見ることのない、国土交通省の管理職ユニオンなるところの参加者がマイクを握って(人事院に窓越しに)問いかけた。
「年末の2カ月、われわれ管理職の残業時間は500時間をこえたが、休日出勤手当18万円支給でお茶を濁すしかなかった。その上、年間ベースで約10%の賃下げと合わせて退職金250万円ダウンとなれば、将来の生活設計が成り立たない。また、新しい査定昇給制度によって管理職は、部下の評価と自己評価との板ばさみになり、本来チームワークである公務に相対評価を下すとなれば、いったい職場はどうなってしまうのか?」

 雨は激しくなるが、顔を背ける仲間はいない。シュプレヒコールは、いままで聞いたことがないほど気迫のこもったものだった。組合に入っていない本省庁の若い職員たちが「なんだ、こいつら、何事か?」みたいな表情で通り過ぎていくが、やがて自分たちの労働条件をめぐってのたたかいに気がついたのか、バツの悪い顔で同僚と顔を見合わせる。
 やがて4500人の群集の波は、総務省・内閣府(経済財政諮問会議)・財務省前へとそれぞれ別れて新たな行動配置につく。赤、黄色、緑の組合旗、「許すな 総人件費削減」と書かれた赤と緑のゼッケン、音楽家ユニオンによるバンド演奏などが加わり、霞が関は、いっとき騒然とした雰囲気になった(笑)。

 そのとき僕の携帯電話が鳴る。
 本部から、いま僕が抱えている労働相談の団体交渉について相手側から至急連絡取りたいとのこと。僕は雨の入る片目をつむり、「これからがいいときなのに、まったく忙しいな~」と呟く。
 ここ数年で最高の動員を達成した中央行動だと思いながら、僕は、人事院前を離れたのだった。
 もう少し行動に参加していたかったけれど、苦しんでいる職員を裏切ることは絶対に出来ないから…。

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2005/07/22

非常勤職員さん5人が加入!

 はっきり言って、20代の女性に語りかけるのが苦手です(笑)。
 それは、国公職場で働き始めた非常勤職員さんに組合加入を訴えるのが苦手ということでもあり、はっきり言って、このままでは組合の上司から「オルグの資格なし!!」と言われそうでこわいんですが……。

 先日のお昼休み、ホームページの写真でも紹介しましたが、国土交通省のある職場で働く非常勤職員さんに組合説明会を行ったんですよ。多忙ななか、大事なお昼休みを組合なんかのために割いてくれるかな~って、まず、それが心配だったのですが、フロアで働く5人全員が参加してくれてホッとしました。
 しかし、胸を撫で下ろしたのも束の間、若い彼女たちを前にして、僕は、なぜかカ~ッと火照(ほて)ってしまったのでした(笑)。
 前日の夜遅くまで悩んで苦しんでまとめたレジュメには、霞が関の非常勤職員が一方的な賃下げやセクハラなどの人間関係に困っている実態(労働相談)が書き込まれているんですが、それを紹介している言葉が何だか自分の声じゃないような無機的な感じがして、まったく力が入らないのだった。
 女性たちは、そんな僕の無様(ぶざま)な空回りぶりを見て、下を向いて笑いを噛み殺しているような感じ(!)。僕のこめかみを生ぬるい脂汗が流れ、手のひらには嫌な汗が絡みついている。20分ほど話したあと、「当局の無法な攻撃を跳ね返すためにも組合に入りましょう」と訴えたのですが(笑)、その時点で、僕、こりゃ駄目だ、大失敗、誰も入りゃしないよ~と確信していました。
 そのあと続いた質疑でも、女性たちは下を向いて、「シ~ン」と静まり返って……。

 そ、それが! その説明会のあと幾日かして、粘り強く加入を訴えたら、全員が入ってくれたのですよ。ホント、涙が出そうなほど嬉しかったです。ある女性は「あなた、どんどん墓穴掘ってましたね~」と笑っていました。

 彼女たちから意見を訊くと、
「低い賃金=日給制なので祝日が多い月は、驚くほど賃金が下がる」
「年休の制限=入省して半年は休日がない、正職員にある夏季休暇がない」
「通勤手当が満額出ない」
 …という不満から、
「不安定雇用=三年雇い止めは、困る」
 という制度の問題までいろいろあったのだ。
 一見、何の不満もないように見えた非常勤職員さんだが、その心の奥底には、やはり要求が渦巻いていることがわかった。

 僕が、おそるおそる「なんで加入したんですか?」と訊くと、彼女たちは、「深く考えれば迷いもありましたよ」と軽~く笑いつつも、「加入を勧めてくれたことがうれしかった」「みんなの活動を少しでも手伝い、理解出来るよう新聞をしっかり読みたい」「ほかの職場や労働条件をもっと知りたい」「後に続く非常勤職員のためにがんばりたい」といった殊勝な感想が出されました。なんだか、僕は、グッときちゃって、逆に励まされてしまいました。
 あと、国公共済会や青年協議会の魅力もあったことを書き留めておく。

 今月行われた総務省人事・恩給局との交渉で、当局は、「非常勤職員の制度は、必要なときに必要なだけ雇用するということが原点だ。均等待遇よりは、正職員の仕事の見直しと定員の再配置という角度から議論をすすめる方向が必要だ」とのべた。それに対して僕は、「現状を認識してこそ制度の問題につながるのではないか。職場の現実は、定員が減らされ、業務が激増するなかで、非常勤職員は正職員と同じ戦力として公務を遂行している」と時間いっぱい使って食い下がった。
 口下手な僕が、強く食い下がれたのは、彼女たちの存在があったからだ。
 国公職場には、非常勤職員のほかにも多くの派遣・請負などの職員がいる。国公労連は、先の「非典型」集会で、「公務職場で多様な雇用形態で働く仲間との総対話をすすめ、創造的な国公労働運動に挑戦する」と宣言したが、過去のパラダイムを乗り越えるような、国公関連職場に働くすべての仲間から頼りになる産別センターへの脱皮をめざしたい。

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2005/07/20

郵政民営化法案を長めに解説

 昨年の国会で民主党の衆院議員が「霞が関の省庁にサービス残業はないのか?」という質問をしたという資料を読んだので、今日のお昼休みは国会議員会館へ向かった。総務省だったか人事院は「適正に行われています」みたいな役人答弁をしていたので、議員に会って「最高議決機関で、みえみえの嘘言ってますよ~」とチクりたいと思ったのだ(笑)。
 国会議事堂前は、郵政民営化法案に反対する労働組合や各種の団体の座り込みの人たちで埋まっており、「毎日」の世論調査で「国民の7割が反対、または今国会での成立に消極的」と報じた一端がよくわかった。永田町は、解散総選挙という政局になる公算が大で、民主党の一部は、すでに選挙活動に突入している。しかし、来るべき選挙で、自民が勝っても民主が勝っても政策に大差はないので、霞が関の職場は、ほとんど無風状態なのだよ。

 議員会館をウロウロしているうちに、偶然にも、総務省官僚が書いたと噂されているオフレコ論点分析集(な、なんと約140ページもの)と自民党の反対派議員が作成した「アメリカの要求どおりに作られた郵政民営化法案!」なるニュースを入手してしまったので、厚生労働省の地下にあるサブウェイでサンドイッチを食べながら面白く読んだ。
 オフレコ論点分析集というのは、衆院段階で明らかになった法案の問題点と、それぞれの議員と竹中大臣とのやり取りを分析したものだ。与党と野党の議員のほぼすべてが取り上げられているが、大事な論戦には、わざわざ○が打たれている(それが、ほとんど自民党の村井議員と共産党の佐々木議員というのも本質的だ!)。その部分を読むだけで、郵政民営化法案がデタラメな法律であることが素人でもわかる仕掛けになっていた(笑)。
 この文書は、衆院での五票差可決という説得性のなさを、なんとか参院で挽回しようと論点整理したものかもしれないし、総務省内の法案反対派が多数派工作のために作成したものかもしれない、とにかくキャリアが総力を挙げて検討したものに違いない。だって、140ページもあるんですから(笑)。

 ド素人の僕が読み取った郵政民営化法案の問題点は、以下の三点。
 1.民営化になると、新郵政銀行?での口座開設が有料になり、手数料が取られる。土曜日・日曜日の引き出しも当然有料になる。民営化とは、郵政事業を儲けの対象にするということだった。
 2.だから、「コストがかかる」(伊藤金融相)ような点字通帳・点字ATMや地方郵便局ネットワークなどという利用サービスは、廃止される方向。自民党の野田聖子議員は、首相は「官から民へ」と言うが、「民間にできないことをやっているのが郵便局」と見事に喝破している。

 そして、最大の問題は、郵政公社は独立採算で行われており、職員給与をはじめとして事業運営には税金が使われておらず、かりに民営化になると新郵政銀行?は600億円の赤字になると政府自身が認めていることだ(公社を維持すれば、黒字のまま国庫に利益の半分を収めることができるという)。赤字になれば、また国民の税金が「補填」として投入されることになるのか? ちょっと怖いな。
 つまり、法案提出のそもそもの理由がないのである。「官から民へ」移行しても、ちっともよくならないのだ。

 そのほか、四分社化の3000億円かかるというシステム構築が間に合わないとか、新会社後もすべての郵便局窓口が銀行代理店として機能するのかどうか(竹中大臣と伊藤大臣との食い違い答弁)など、問題点はあげればきりがない。

 そこで、自民党の抵抗勢力が発行したニュースの見出し、に戻る。ここには、「アメリカの要求どおりに作られた郵政民営化法案!」とある。アメリカの圧力については、民主党議員がこぞって質問している。
 結局、郵政民営化の本当の狙いは、民営化された新会社の株式を誰かが買い占め、その経営権を使って350兆円もの郵貯・簡保資金をアメリカに渡すことにある。アメリカの海外投資(ハゲタカ)を勢いづかせるために、国民の資産と郵便ネットワークが解体・叩き売られようとしているのだ。

 官僚のカンペを使って適当に書いたのですが、誰か反論してください(笑)。

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2005/07/19

ソウル最終話 歴史問題をめぐって

 韓国の公務員労組との懇談会が終わろうとするとき、向かいに座っていたソウル市役所労組の副部長さん(女性)が、「最後に、どうしても意見をうかがいたい」と言って立ち上がった。
 彼女の質問は、労働組合の問題から大きく離れていた。しかし、彼女から、これを聞かなければここに来た意味はないというような切迫したものを感じさせた。

 彼女の質問は、
 1.あなたが、もし「従軍」慰安婦だったら、日本の政府に何を求めるか?
 2.韓国の慰安婦たちが、日本政府に補償を求めていることをどのように理解しているか?
 というものだった。

 僕は、来るものが来たーッという感じで、身構えてしまった。

 しかし、なんとか絞り出した僕の答えは、次の通り。
 1.について。「謝罪と補償を求めるのではないか」
 2.について。「これまで朝鮮の慰安婦たちが受けてきた差別や偏見、苦しみを考えるとき、日本軍国主義に対して怒るのはわかる。その償いをしていない(最近では、慰安婦の存在を否定しようとしている)日本に対して謝罪と補償を求めるのは、当然だと思う」

 僕は続けて言った。
「僕個人の考えで言えば、いま日本国憲法9条を変えようとしている動きがあり、その運動は、過去の戦争に対する反省が不十分な人たちではないかと思う。慰安婦にされた女性たちを守ることと憲法9条を守ることとは、深い底でつながっているのではないか」
 女性は、「別にあなたに日本政府を代表して発言してほしいと言っているわけではありません」と笑い、「ありがとう」と頭を下げた。

 翌日の5日は予定を変更して、通訳の朴さんと一緒に独立記念館とナヌムの家へ向かった。ナヌムの家では、慰安婦のおばあさんから、直接、体験談を聞くことができたのだった。

 朴さんは、「日本のお客さんで、独立記念館まで来る人はいない。辛い立場になるでしょう」と言い、「展示物を見たら、気分を害されるかもしれません」と悲しそうに俯いた。
 しかし、再び頭を上げて、僕に言った。
「あなたの機嫌を悪くしたいという意図はないのですよ。独立記念館の展示物は、韓国で教えられている歴史だと考えてください。昔の日本人たちがやったことですが…、許すことはできる、しかし、忘れることはできないのです
 朴さんは、「実は、日本の歴史教科書を大国的に変えようとする人がいるように、韓国の若い人のなかにも、『朝鮮はなんて弱い国なんだ』とか『なんでこんな弱い国に生まれたんだ』とか『こんな国のために徴兵制度があるなんて最悪』と不満をあからさまに主張する者も出てきています」と複雑な表情で言うのだった。

 僕は、いっときの感情に流されるのではなく、改めて朝鮮と日本の歴史を学ぼうと思った。少なくとも朴さんは、バランス感覚を持って日韓の歴史を踏まえている。
 大学を卒業して日本の旅行会社に就職した朴さんは、韓国旅行の研修のとき、社長が「韓国の連中が、日本の戦争責任についていろいろ言うかもしれないが、そんなの無視しろ、俺たちには関係ないからな」と言い放ったのに出くわし、首になるのを覚悟で反論したという。
「私は、『…社長、一言いわせてください。韓国人が問題にするのは、事実を見てくださいということでしょう。植民地時代のことは、終わっていないのですよ』と言ってしまいました」

 朴さんのバランス感覚は、「未来責任」という言葉がぴったりだ。

 ホントは、このあとのこともいろいろ書きたいのだが、ソウル編は、ここまで!
(人事院勧告前で、ほかにたくさん書きたいことがたまっていまして、申し訳ない)

 読んでくれたみなさん、カムサハムニダ!! 

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2005/07/14

心の奥にあるものは 後編

 昨年1年間、韓国社会は、公務員の労働三権をめぐって揺れに揺れたのだ。当初、「公務員の労働三権は守られなければならない」と明言していた盧泰愚(ノ・テウ)政権だったが、国会に提出した「公務員労組特別法」は、公務員を労働者として認めず、団体交渉権やストライキ権を否定するものだった。
 よくよく調べてみると、政府案は、一般の労働法とは別の、「公務員労組法」によって公務員の主な案件が決定されるというもので、はっきり言って、日本の国家公務員法をまるまるパクッたことは間違いないだろう(苦笑)。

 非合法団体である公務員労組は、全国各地の大学の構内で大規模な抗議集会を開き、秋には約5万人の公務員ストライキを打って政府の悪意あるくわだてを国民に知らせようとした。しかし、警官の弾圧や不当逮捕、ストライキに参加した者への懲戒解雇(公職追放)などが加わり、年末、国会会期末ギリギリで法案は可決してしまう。
 金委員長は、「いま仲間の復職を勝ち取るたたかいをすすめている」と言っていたが、彼女彼らは、労働者は弱く、弱いから団結しなければならぬことを知っており、団結の具体的なかたちは団交でありストであることを身をもって理解している人たちだ。だからこそ、労働三権をめぐっては絶対に妥協できないと腹を括っているのだ。
 僕は、日本の国家公務員の身について考える。戦後すぐ労働三権を奪われ、その代償機関として人事院がつくられるのだが、いまや(同じ仕事をしていても)住んでいる地域によって賃金に格差をつける勧告を準備するほど、その内実は変質している。当局との交渉も管理運営事項(国会で決まるような給与法など)は、議論できない建前だ。もちろん、国公労連は、そういう制約があるなかでも示威行動を配置し、粘り強く交渉を重ねているのだが、……しかし、国とキャリア上司のやり方に唯々諾々と従う、魂の抜けてしまった職員(それが本来の国家公務員なのだと主張する職員)が増えていることは否定できないだろう。

 金委員長や李委員長は、本当のところ、僕に対して、「日本のたたかいが弱いから、日本の悪い部分が韓国に輸出されるのですよ。こんなところに話を聞きに来る暇とお金があれば、日本のたたかいを前進させて下さい」と言いたいのではないかと思った。

 経団連の雇用流動化(不安定化)戦略が見事に成功し、いま日本の若者は、ごく一部の「勝ち組」と大多数の「負け組」へと、二極拡大している。Ⅱ種で入省する職員のなかには、自分を「勝ち組」だと公言する奴がいるから困る(笑)。そういう状況で、組合が呼びかける連帯や団結は成立するのだろうか?
 
 僕が組合活動をする理由は、その可能性の中心を確かめたいからに他ならない。

 僕は、最後に李委員長に訊いてみた。
「委員長、突飛なことを訊きますが、あの~、人間と人間とは、果たして理解し合い、手を携えていくことはできるのでしょうか?」
 通訳の鈴木さんが、「連帯できるから、あんた、組合やっているんだろう! 何、馬鹿なことを訊くんだ?」というような厳しい目で見ている。

 李委員長の隣にいる女性組合員が答えた。
「その問いは、労働組合の存在理由にかかわるものです。言い換えると、それは『愛』とか『ヒューマニズム』とか呼ばれるものかもしれません。それは成立可能か? と言われれば、永遠の課題ではないかしら……。私たちは、その答えを追求し続けるしかないのです
 僕は、彼女の言葉に胸が熱くなった。
 今度は別の組合員が付け加える。
「…ある組合活動家がいたんですよ。彼女の実家がお店を開いていて、でも貧しいので人が雇えない。実家の者が、彼女に組合活動をやめて店を手伝えと言う、しかたなく彼女は店で働き始めた、……しかし、私たちは同志でした。組合の仲間が交代で、代わる代わる、彼女のお店を手伝うことで、彼女の組合活動への復帰を可能にしたのですよ。……こんな話で、あなたの質問の答えになるかしら?」

 僕は、嬉しい気持ちでメタメタに打ちのめされていた(笑)。
 日本の団塊の世代からは、絶対に出てこない言葉だと思った。

 …すごい、本当にすごいぜ、韓国の公務員労働組合!!

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2005/07/13

ソウル三話 心の奥にあるものは 前編

 ビルの8階にある会議室からは、薄黄色い陽光にまみれたガスに煙るソウルの街が一望でき、僕は、とても美しいと思った。しかし、入室した金永佶(キン・ヨンギル)委員長の冒頭あいさつが、そんな生易しい感傷を吹き飛ばしてしまった。
「昨年のストライキ弾圧事件で逮捕されて、実は10日前に出てきたばかりなんですよ。実は、われわれの組合は結成されて活動しているものの、現在も合法的な存在として認められていない。首を切られた仲間の復職と労組の法的な枠組みづくりが大きな課題なんですよ」
 僕は、この人の首は飛んでいるのだ、と思う(02年のストライキで当局から「懲戒解雇」を受けているのだった…)。
 金委員長は、「女性労働者が活発に仕事し活動できるようにするため、規約の改正で役員の30%を女性にしなければならないなどの組合の制度を検討している」とものべた。…なんと穏やかな話し方をする人なのだろう。

 あいさつの後、別の仕事に向かった金委員長に代わって、女性委員会の李燕淑(イ・ビョンジン)委員長が説明に立った。通訳は、日本の在韓企業で勤め、民間労組にいるという鈴木さんだった。
「いま韓国でも新自由主義の思想が広がり、公務員リストラが進められています。06年までに20%の公務員を非常勤職員にするという政策が出ており、『公務は生涯に渡って働き続けられる職場』とは言えなくなりつつあります。下級職の若い女性公務員がターゲットになるでしょう」
 僕は、「日本の国家公務員も五年間で10%純減の定員削減、賃下げが進められてる」と伝え、霞が関で働く非常勤職員のことを思い出した。
「……組合員の組織化は難しいですよ。そうは言っても公務の職場は、まだ、安定していて差別がないと思われている。だから、『組合員になると昇進に関わる』なんていうムードもできる。『女性だから』とか『組合員だから』と言われない職場づくりが必要です。『女性が輝かなければ、(女性)公務員は輝かない』を合言葉にしたい」
 李委員長は、「そのためには、男性組合員、幹部の考えを変えていくことが必要だわ。つまり、ここにいる女性幹部が夫を変えることよ」と笑った。このセリフには、伴侶のいない僕も笑った。
 その他、民間を含めた非正規労働者の増大の問題や韓国では週休二日制の導入とともに来年から生理休暇がなくなるという問題、戸主制度の廃止の問題などを語り合った。
 
 しかし、李委員長の左右に並ぶ役員は、みんな解雇されているという事実に心が痛む。なぜ、彼らは、そこまで労働基本権を得ることにこだわり、たたかうのか?

 ネットで検索するとハンギョレ新聞に次のようなコラムが載っていた。
 
 「今や弾圧政権なのか」
 盧武鉉政権が公務員労組弾圧に取りかかった。 改革の意志も能力も不足した政権が、 社会的な弱者に公権力を振り回す姿からは、怒りより先に憐憫さえ感じられる。米国に首根っこを捕まれ、朝・中・東とハンナラ党に振り回されて、これまでにしたことはイラクに派兵して「企業しやすい国」のために力を注いだこと以外、見るべきものがほとんどない政権が、ついに行政首都移転について憲法裁判所裁判官から頬を殴られ、その鬱憤晴らしを公務員労働者にしている形である。
 …公務員労組に対する盧武鉉政権の弾圧は、したがってきちんと改革しない彼らが改革の遅れの負担をひたすら公務員労組に転嫁しているのだ。冷たい風が吹き始める時に、全員解雇を語る彼らのずうずうしさは今後どこまで行くのだろうか?
 …国民も認識を変えなければならない。守旧勢力と国家貴族がこのように厚かましくなれるのは、市民意識と階級意識の不在のためだ。長い間、国家貴族の下手人として不正腐敗のおこぼれを食べ、国民からも軽蔑されてきた中下位職の公務員たちが、今や人格的な存在として公職社会の不正腐敗を清算する内部監視する人になり、国家貴族の国家の右手に対する均衡者としてのプライドを持った国家の左手になれるように、彼らの基本権争奪闘争に連帯しなければならない。

 どこかの国とよく似ているな~と思いつつ、僕は、公務員労組の結成宣言文を読んだのだった。

 ああ、この瞬間をどれほど待ち望んだことだろう。
 今日、私たちは長く暗いトンネルを抜けて、明るい世の中へ第一歩を踏み出す厳粛な瞬間を迎えた。
 
 振り返ってみれば、私たち公務員は過去50年以上、権力と資本にされるがままにさせられ、差し出されただけに従順に受け取ってきた。
 国民からは政権の手先として、不正腐敗の張本人と後ろ指を指され、
 権力からは政権維持の道具として利用され続けてきた。
 政権が変わるときは、いつもスケープゴートにされ、糾弾の矢面に立たされてきた。

 しかし、私たちはもうこれ以上、屈従の歴史にとどまっていない。

 今日、ありとあらゆる妨害と弾圧にもかかわらず、厳粛にスタートする私たち公務員労組は、過去の軍事政権時代に奪われた労働者という名前を取り戻し、民主的な労働運動に堂々と参加し、歴史の発展に寄与するその一歩を踏み出すのだ。

 さあ、90万人の公務員労働者の名前をもって宣言する。

 世の中を変え、国を正す公務員労働組合が結成されたことを…。

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2005/07/11

ソウル二話 似ているようで似ていない

 4日の午前中、昨日とは一転して青く晴れ渡った空の下、ソウル市庁舎前の緑は映え、噴水では子どもたちが裸で水浴びをしていた。日本と似ているようで似ていない、やはりそんな感情が生まれる。
 そこへやってきたのは、世界女性行進のデモ隊だった(笑)。女性たちが持っているプラカードには、英語で「女性への暴力反対」「ストップ人身売買」「沈黙を破れ!」「一人の命は、国家よりも重い」などの言葉が躍っている。総勢100人ぐらいの(ほとんど女性による)小さなデモだったが、女学生らしき人が力強いシュプレヒコールをあげると、本当に心の底からスローガンを復唱している真剣さが漂っていた。
 ソウルの激しい交通事情のためかデモは歩道を歩き、日本にいるような監視役の警察官はほとんどいない。
 参加者に話を聞くと、世界女性行進というのは、平等・自由・連帯・正義・平和を基調にしたもう一つの世界を模索しようと、世界の女性団体が連絡を取り合い、世界各国をリレーのように行進して訴える企画のようだった。
 通訳の朴さんは、言う。
「韓国では、この3月に(日本が植民地時代に改変した)戸籍法が廃止されました。それまで、日本では戦後に廃止された戸主制度が残っていたのですよ。男性に限られ、一家の権力を掌握する戸主、そのため子どもの姓は父方のものになる。最近の韓国では離婚率も高くなり、戸主制度のもとで子どもを持った女性が再婚すると夫・妻・子の三者が全員パラパラの姓となり、いじめの温床とも言われてきたものです。いま国会は新しい戸籍制度を模索していますが、女性たちの声を届ける必要がありますよ」
 儒教の教えが生活の隅々まで残っている韓国では、儒教団体が、戸籍法の改正は「国の根本を破壊するものだ」として大反対しているそうだ。なんだか日本でも聞いたような話だな(笑)。
「韓国には、女性の昇進・昇格差別が深刻です。仕事を優先すれば、子どもが産めない、家庭がつくれない構造になっている。韓国はとうとう世界ワーストワンの少子化1.17になってしまいました。この前、軍隊で乱射事件がありましたが、犠牲者のほとんどが一人っ子でした」
 そのように言う朴さんは、2人の子を持つワーキングウーマンだ。制度を変える側と保守する側の意見をバランスをとって説明してくれるスマートさを兼ね備えているが、やはり、選び取られた言葉から滲み出す切実なものがあると思った。

 バスは、いよいよ全国公務員労働組合(KGEU)へ向かう。3年前に結成されたばかりの新しい組合だと聞いて、韓国国民の民主化へ向けた茨(いばら)の道を想像せざるを得ない。
 漢江を渡ると円形の青銅が目立つ国会が見えてくる。そうして、自動車部品などが密集して売られている街を越したところに組合事務所が入るビルがあった。
 韓国の国家公務員は約16万人、地方公務員は約33万人といわれている。そのうちKGEUは、約10万人を組織する。昨年、KGEUは、公務員の労働基本権を確立するためにストを含めた激しいたたかいを展開したのだが、僕は、全労連からそのときのビデオを見せてもらって、彼女彼らの活動の中心にあるものを知りたいと思っていたのだ。どうしようもなく気持ちが高ぶる。

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2005/07/08

ソウル一話 公務員は「鉄の弁当箱」 

 3日、東京・成田を発った大韓航空907便は、約2時間のフライトの後、雨でけぶる仁川(インチョン)空港に降り立った。空港内部のつくりも行き交う人々の表情も日本のそれと変わらないような気もするが、やはり明らかに何かが違うと感じる。若い女性の税関職員や痩せた義務警察官(徴兵制で選択できるようだ)の姿は、日本のものとはまったく違うのだ。
 やがて女優の麻生祐未を一回り小さくしたような、通訳の朴(ボク)さんが「こんにちは~」と出迎えてくれる。情けない僕は、「アニハセヨ~」が言えない。当然ながら、彼女の日本語ペラペラなのに驚く(このとき、まだ僕は、この通訳さんの本当の素晴らしさを知らない)。

 バスで移動、ソウルの繁華街・明洞(ミョンドン)のホテルへ。民営企業が高い交通料金をとっているという一本きりの高速道路をひたすら走る。地下鉄の建設や干潟の埋め立て工事、林立していく造りかけのマンションなど、いまソウルは建設ラッシュで不動産バブルに沸いているという。朴さんは言う、「政府は、一昔前の日本のバブル景気と弾けたあとの長期不況を知っているので、その対策に頭を悩ませている。マンションの部屋、一坪100万円なんていうのはざらなんですよ」。

 韓国の人口は、約4200万人。うちソウルの中心街と郊外には、合わせて2000万人が暮らす。やがてソウルを東西に流れる漢江(ハンガン)という、巨大な河があらわれる。冬になると見事に凍結するという。湿気のない住みやすい夏と秋が、やがて零下20℃にもなる冬を準備している。
 朴さんは、「ソウル市長は、飽和状態にあるソウルを分散させようとしています。郊外で分譲マンションがどんどん建っているのは、そのためです」とアナウンス。石やレンガでつくった建物が通り過ぎ、霧雨でけむる河の向こうに摩天楼のようなマンションが並んでいる。
「ソウルがどんどん変わっていく…、あなたは日本に似ていると思うでしょうが、韓国全体からすれば日本に7、8年は遅れているでしょう。しかし、いまソウルは、日本とは違う方向でどんどん変わろうとしている。その活力は、円安につながるほどなんですよ。その変化を、あなたの目で確かめてください」
 半年前、1万円=10万ウォンだったレートは、さっき空港で換金すると8万9000ウォンだった。

 明日(4日)の午後、全国公務員労働組合(KGEU)を訪れることになっていた。
 朴さん「こちらでは、公務員は『鉄の弁当箱』って揶揄されているんですよ
 僕  「どういう意味ですか? 鉄の弁当だったら開けられないじゃないですか」
 朴さん「アハハ…。そういう意味ではありません。それだけ強く給料が守られている、身分が一生保障されているという意味で、民間労働者から妬まれているという意味です」
 僕  「日本と同じだ。…いや、日本は『税金泥棒』って言われているから、もっとひどいかもしれない」
 朴  「『税金泥棒』? それはひどい言い方だわ」

 バスの乱暴な運転は、ソウル市内の激しい渋滞が自然と教えたものかもしれない。ホテルまでの道程、何度も途中で無理やりのUターンをする。
 ホテルのある明洞は、まるで新宿・歌舞伎町のようなところだった。明るいネオンと薄着の若者たちで溢れている。新宿を漂う、色のついた空気が、ソウルの霧雨に流されたようで、バスを降りたときに嗅いだ匂いは、少し熱をもった異国の純粋な露地の水の匂いだった。
 ……いや、目の前の屋台で揚げている牛蒡(ごぼう)巻きの、黄味がかった油の匂いだと思った(笑)。

 部屋に戻ると、泥のように眠った。

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2005/07/01

集会の報道 その2

 ……昨日の続きです。
 
 「組合に入ってよかった」/全労働北海道の非常勤職員/情報共有化も魅力 

 全労働北海道支部の呼びかけにこたえ、昨年組合に加入した山崎容子さん(仮名)。
 比較的規模の大きな監督署で総合労働相談員として働いている。職員間の仲間意識や情報の共有化という点で「組合に入ってよかった」と語る。雇い止めの不安についても「組合加入で少し安心」という。
 総合労働相談員は、個別紛争のあっせんなどを担当する非常勤職員。ただし、窓口では36協定や就業規則のチェックと受理、申告の相談・アドバイスなど幅広い業務を行わなくてはならない。裁判判例はもとより、労基法など労働法全般の知識が要求される仕事である。
 山崎さんは社会保険労務士の資格を持つ。それでも「この仕事を始めるときには、勉強をしなおしました」。高度な専門性が要求されるのだ。
 実は、相談員の仕事を始めてから、社労士として開業する道を断念した。「社労士だと、事業主のために法律通りでないこともやらざるを得なくなります。それよりもここの仕事はやりがいがあります。給料は安いけど、今の仕事を続けたい」。
 だからこそ、雇い止めが気になる。年度末が近づいても更新の話がないと「もしかしたら切られるかもとすごく不安です」。仕事を続けるためにも、やはり組合は必要だ。
     
 組合加入による変化のひとつは、ニュースなどの情報がどんどん来るようになったこと。学習会など勉強の機会も増えた。職員の歓送迎会や飲み会を遠慮する必要もなくなり、以前より署内の事情が分かるようになったという。
 山崎さんは「組合費の値以上に、入ってよかったと思います。職場の未加入の人にももっと呼びかけたい」と話している。
「連合通信・隔日版」

 さて、僕、今度の日曜日(3日)から木曜日(7日)まで、いよいよ韓国ソウルへ出張します。
 向こうの労働組合の視察、交流など深めてきます。話によると、韓国では非正規労働者が5割を超えているようです。日本の労働法制の改悪も影響を与えているようです。国会会期中で、仲間には悪いけれど、鬼の心で行ってきます。

 ではでは。

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