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2005/06/09

信じるということ

 今日のお昼休みは、千代田青年ユニオンのみなさんと一緒に労働実態アンケート行動を行った。日比谷公園でランチをしている若者に署名ボードを見せて、「仕事に不満や困ったことはありませんか?」と訊く。吉田修一さんの芥川賞受賞作「パーク・ライフ」の舞台は、いま小学生たちの修学旅行や課外授業の格好の場所になっているみたいだ。若い教師に引率されて、たくさんの子どもたちが弁当箱を開いていた。
 一時間の行動で、派遣社員の女性二人、金融関係の正職員の一人から話が聞けた。民間の若い労働者たちの生の声を聞くと、国家公務員の組合である国公一般がしっかりしなきゃと思ってしまう。増える非常勤職員の均等待遇の課題は、派遣職員の無法な労働条件をただしていくことにもつながると思うし。

 行動が終わって、日比谷図書館へ。国公職場の、とある問題を調べたいと思った。
 しばらく調べて気分転換に新聞閲覧室に入り、懐かしい「中日新聞」を読む(故郷の愛知県では、圧倒的に中日新聞の読者が多い…)。一面は、昨晩、ドイツ行きを決めた、W杯サッカー日本―北朝鮮戦の写真と記事だった。野村記者が書く囲みの記事に目を奪われ、目頭が熱くなった。
「(ジーコ監督は)人前で選手を罵倒(ばとう)したトルシエ前監督と対照的に、起用法が批判されても選手をかばい、励まし、信じぬいた」
「先月のキリン杯での記者会見では、FW鈴木の不振をめぐる質問に懸命に反論。『全力で戦っているわたしの選手がなぜ笑われなくてはいけないのか』。その言葉を訳す鈴木国弘通訳が声を詰まらせた」
「クラブチームのような一体感がある。選手たちはそろって現代表をそう表現する」 
 …大切なのは、どこまでも人間を信じるということなんだ。
 僕のような一介(いっかい)の組合オルグと高名なジーコ監督を一緒にするわけにはいかないけれど、組合活動の基本にも「人間を信じること」を据えなくてはならないと改めて思った。最近、実は、いろいろなことがあって悩んでいました。霞が関を歩いていても、ふと、オルグとしての自分の資質を疑ってしまうようなほどに。…苦しい。誰かの責任にしてしまいたい。

 国会議事堂に夕陽が落ちていく、そんな霞が関をトボトボと歩いている。
 確か、山田洋次監督が若いころ映画スタッフとうまくいくか悩んでいたとき、先輩の野村芳太郎監督が「山田くん、人間を信じるかどうかは才能にかかわることだ」と言って励ましたというエピソードを思い出した。
 
 …負けられない。絶対に負けられない。

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