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2005/06/06

エゴ的組合活動からの脱皮

 国公労連は6月3日、第123回拡大中央委員会を開催して05年夏季の運動方針を決めた。中央委員会には、各単組の役員が参加し、人事院に対する要求から運動の構えにいたるまで、ときに激しく議論を交わし合った。
 
 議論を聞きながら、僕は、いま霞が関の合言葉が、「とにかく金がねえんだよーッ」だということを思い出した(笑)。そうして、法案作成にかかわりながら、その内容が国民に新たな負担を強いるものだとわかっている仲間たちは、指揮棒を振るキャリア上司に「○○さん、この制度が失敗したら、指詰めてくださいよ」「こんな見え透いたやり方、ポシャらなくても法制化されたら(責任とって)腹切ってください」と本気で言って抵抗しているのだ。自民党が公共事業に血税を湯水のように注ぎ込んでつくった山のような借金を、政府は、とりわけ公共福祉部門の削減と増税で乗り切ろうとしている。政府の背後には、日本経団連が隠れている。
 全国の国家公務員で構成する国公労連は、「国民とともに、国民のなかへ」というスローガンのもと、政府の悪政全体を見定めながら、その執行者である自分たちの仕事をも厳しく問いながら、新たなたたかいを構築しようとしているのだ。

 政府は、今月下旬に決定しようとしてる骨太方針に「総人件費の削減」を盛り込もうとしている。つまりは、国家公務員の大幅な削減と賃下げだ。公務部分の人的物的リストラは、結局、国民への公共サービスを低下させることになる。そうして、最後に控えているのは、消費税の大増税である。

 霞が関だけではなく、国の地方出先(でさき)部門も「不夜城」なのである。ハローワークも社会保険庁も法務局も税務署も地方整備局も空港も港も観測所も裁判所も国立病院も、公共サービスの窓口はどこもギリギリの体制で担われているのだ。深刻化する貧富の格差のなかで、国民すべてに平等な機会と質を保障して提供する公務サービスをこれ以上切り捨ててはいけない。
 国家公務員の給与水準を下げることは、一見すると、国民ウケがいいかもしれない。しかし、これは、民間給与も下げていくための新たな基準づくりに他ならない。
 先日、僕の(民間で働く)友だちは、正直に、こんなことを言って国家公務員をかばってくれた。
「出来れば、民間でも、公務員のようにしっかりした身分保障をしてほしい。そうしなければ、専門性や継続性が担保できない」
「結婚するなら公務員とか、息子娘には公務員になってほしい…とか言うのは、よくわかる。この時代、あまりにも人間を人間扱いしていないから」
「官の給与水準が下がれば、民間全体の給与水準も下がり、ひいては、地域経済そのものが疲弊することになる」

 国公労連は、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論のあと、次のように決議した。
「われわれ国公労連は、広範な国民との共同を広げ、総人件費削減に反対し、行政体制の整備拡充を求める取り組み、生活と公務労働の実態をふまえた賃金の実現を目指す取り組みをすすめていくものである」

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コメント

先日とある国道事務所の出張所にいつたら、正規の公務員は、所長と各係の係長という数人だけで、あとは都市計画協会(?)、派遣、アルバイトで仕事をしているんで、驚きました。これ以上人件費抑制されたらどうなるんだろう。若い係長さんもサービス残業が多い。二年毎に転勤なんですと言っていました。正規公務員もまた大変な状況なんですね。
頑張ってください。

投稿: トド | 2005/06/08 午後 04時46分

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