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2005/06/24

美しい女性(ひと) その2

 今日は、総務省人事・恩給局と非常勤職員の労働条件の改善をテーマに交渉を行った。第4回非典型労働者交流集会を明日に控えて、全国の職場で集めた署名2万3000筆も提出した(スゴイ!)。僕、署名の入ったダンボールを抱えて総務省の5階まで上がったんですが、いやいや、とても重かった!
 
 労働組合の強みの一つは、当局交渉ができること。職場の実態と要求を直接、使用者に伝え、回答を求めることができる(交渉することは、泣き寝入りをしないということだ)。納得できない回答は、組合員の心に怒りの火をつける。労働組合側の交渉能力が問われる「見せ場」でもある。

 僕は、(霞が関で働く非常勤職員を組織している)国公一般の担当者として、国公労連の単組の交渉に加わらせてもらったのだが、あれ? 交渉のデスクのこちら側に若い女性が二人ちょこんと座っているではないか! ああっ、そっか、国公の職場で働く非常勤職員が、自らの職場の声をぶつけようと今回参加してくれたのだ。
 午後1時15分、交渉開始。
 課長補佐と若い係長がノートを持ってあらわれ、温和に対応してくれた。しかし、交渉は、組合側から一方的に非常勤職員のおかれている実態を伝える場となった。非常勤職員なくして業務が成立しないという国公職場の現実が浮き彫りになっていく。

「ハローワークの窓口で働く相談員は、ほとんど非常勤職員。彼女たちは、障害者や外国人、高齢者まで視野に入れた生活・身の上相談を行い、いまこの瞬間にも暑いなか求人開拓で企業訪問をしている人もいる。労働局の非常勤職員は、不正受給の調査や労働紛争の仲裁までしている。彼女たちがいなければ、現場は回らない。なのに、研修は不十分で、日給6000円という低賃金に据えられている。雇い止めの不安もある。総務省は、働くルールを確立してほしい」
「国土交通省の現場では、正規職員の定員削減のなかで、非常勤職員が一割をこえている。一定の技術を身に付けるのに3年はかかる。そのときに雇い止め=解雇なんてつら過ぎる」
「今年の4月から入省した非常勤職員は、半年間、休みが一日もない。正規職員のような夏期休暇もなければ、お盆でも休めない。日給制なので休日の多い月は、生活保護以下の給与になるときがある。これじゃ病気でも休めない。正規職員と同じ仕事をしているのだから、均等待遇は当然ではないか」
「働き始めて2年と9カ月です。私は、3年の有期雇用という条件を飲んでの就職でしたが、先輩たちがいきなり解雇されるたびに現場は混乱して、本当にいっぱいいっぱいになったんですよ」

 若い女性たちの、たどたどしい、慣れていない、しかし、細い体の内側から溢れ出す声=要求に僕の胸は締めつけられる。
 僕も負けじと課長補佐の目を見て話した。
「この春、霞が関のある省では、予算削減が理由で、月額2万円の賃下げが非常勤職員に強行された。これでは働いていけないですよ。それから、正職員によるいじめやセクハラも本当にひどい実態なんです。しかし、現場の非常勤職員は、不満があっても言えない。言ってしまったら解雇されるのではないかとビクビクしているんです。当局は、早く均等待遇に動くべきではないか。霞が関が変われば、日本全体が変わるんですよ」

 組合員一同の告発が終わったあと、課長補佐は「職場からの要請と実態を聞かせてもらった。具体的な部分の問題は、まだ難しいが、今後の議論は、今日の意見を踏まえていきたい」と一般的な回答でお茶を濁す(うわ~、苦しい~)。
 すかさず国公労連の役員が言う。
「これまで何度も申し入れているじゃないですか! その実態は、各省まかせで、政府は、一向に手をつけないのが不満なんですよ。スピードが遅すぎます。ただちに均等待遇へ向けて改善すべきだ」
 僕は、若い2人の女性の表情を盗み見た。役員の追及に「うんうん」と頷いている。1人は、昨年の非常勤集会で発言してくれた22歳の女性で、これまで2年9カ月働いてきて、あと3カ月で雇い止め=解雇されることを踏まえての決死の訴えなのだと改めて思った。
 35歳のおっさんからすると、一見、何の不満もないように見える若い女性非常勤職員たち……。髪を柔らかく染め、美しく化粧をして、明るい服を着て……、いまどきの女性は、意見を胸の奥に沈めたまま主張しないものだ。……ああ、すべては、僕の偏見だった(!)。
 
 全国に23万人いる国公職場の非常勤職員の均等待遇をめぐる攻防戦は、何も勝ち取ることもなく、終わってしまった。しかし、確実に、間違いなく確実に、何かが変わりつつある、そう思った。 

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