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2005/03/10

主人公のいない大河小説なんて(増補)

 …いままで隠していましたが、はっきり言って、国公一般は、若いキャリアのみなさんの労働相談にも乗っています(!)。このブログで散々キャリア制度やキャリア連中の悪口を重ねてきた僕ですが、相談に来る若手キャリアのみなさんは、みんないい人ですので(霞が関には、僕の大学同期の連中も結構いますので、個人的には何の恨みもありません)。
 心ある、良心ある若手キャリアは悩んでいます。
「わたしの仕事は、本当に国民のためになっているだろうか?」
「翌朝まで働き続けて、何度も体を壊す、その繰り返し。こんな霞が関が狂っているのか、それを疑うわたしが狂っているのか…」
 みんな、そう真剣に問うているのです。

 帰りの地下鉄のなかで夢中で読んでいて降りる駅を乗り越してしまった、読んでいた雑誌は『ポリティーク』(旬報社・2200円)。政治・経済・思想が中心の硬派な本だ(普段は、小説ばかり読んでいます)。そこに掲載されている座談会「構造改革のなかからの官僚機構の再編成」が、いまの霞が関で起きているキャリアたちの歪(いびつ)な蠢(うごめ)きようを捉えていて面白かったのだ。全経済、全厚生、国公労連の役員が出席して、各省キャリアの特徴づけをしている。
 この間の経緯で言うと、経産省を中心に行革推進事務局に送り込まれた若手官僚たち(ほぼ全員東大卒)は、結局、手がけていた公務員制度改革が頓挫(とんざ)し、志半ばで店じまいすることになってしまったが、交渉相手でもあり、また労働相談を受ける組合の側からすると、若手キャリアの苦悩は、少し痛ましい感じがする。

 彼らは確かにスマートで、「この国のかたち」とか「公務員制度改革」とか「日本丸の行方」とか「日本株式会社」とか大風呂敷を広げるのはいいんだけれど、結局、それは「主人公のいない大河小説」を書こうとしていることに気がついていないんだよな…。

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