苦いコーヒー
国公一般の仕事の大きな柱は、霞が関で働く国家公務員の労働相談に応えることだ。このところ、ある省で働く職員からの相談が相次いだ。一人は、メンタルの疾患で病気休暇中なのに退職勧告されていることに困っている、もう一人は非常勤職員で、労働条件の一方的な切り下げに怒っている。本格的に話を聞くのは、これからなのだが、政府の公務員リストラの弊害が少しずつ広がっているという印象を受ける。こういう危機(クライシス)を組織化へのチャンスに変えられるかどうかが、僕らオルグの力の見せどころだ。
午後、人形町の全国一般東京地方本部へ行く。これも国公一般につなげられた、ある労働相談にかかわって、民間の労組の力を借りる必要があってのことだ。相談者と落ち合って事務所へ。大久保副委員長の諄々(じゅんじゅん)とした話を聞いていると、解雇撤回闘争の大変さがわかる。労基法上、こちらに正当性があっても裁判で勝てるとは限らないということ。また、交渉権が発生しても職場に守ってくれる仲間がいなければ、仲間を増やせなければ、当局側の勝手し放題になってしまうこと…。それから、健康でなくては最低3年ほどかかる解雇撤回の裁判闘争をたたかいぬくことができないということも。悔しいけれど、組合はヤクザの脅しとは違うので、正当性を持って堂々と正面から突破する道を選ぶのは、大変難しい。
事務所を出て、相談者と一緒に近くの喫茶店でコーヒーを飲む。彼は、コーヒーに砂糖を入れながら、「こんな私のために、半日を使ってくれてありがとうございます」と頭を下げるので、僕は「とんでもない。これが仕事なんですから」と手を横に振る。「僕の方こそ、うまい解決策が見つけられずに申し訳ないです」。
まだ終わったわけじゃない。苦いコーヒーを飲みながら、現実の壁の厚さを痛感した時間だった。
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